技術分野

人工知能とは

1.人工知能の定義

◆人工知能とは何か、具体例を用いて説明できる

 Artificial Intelligence 、AI

 1956年 ジョン・マッカーシーがダートマス会議において初めて使った言葉。

 統一された定義はないが、推論・認識・判断など、人間と同じ知的な処理能力

 を持つ情報処理システムという点では大多数の研究者の意見は一致している。

 

◆人工知能のレベルを「単純な制御プログラム」「古典的な人工知能」「機械学習」「深層学習」の4つに分類し、それぞれがどのようなものか説明することができる

 

 「人工知能の分類」を参照

◆AI効果を説明できる  

 「AI効果」を参照

 

 ◆人工知能とロボットの違いを説明できる、人工知能とは何か、具体例を用いて説明できる

 「人工知能とロボットの違い」を参照

 

 

キーワード

【人工知能】:推論・認識・判断など、人間と同じ知的な処理能力を持つ情報処理システム

       ・汎用人工知能・・・人間と同等かそれ以上の知能があり、意識をもって行動する

                 ドラえもん、鉄腕アトムなど

       ・応用人工知能・・・特化型、特定のタスクを実行する

                 音声認識、自動運転、検索エンジン

 

【エージェント】:入力(周囲の状況)によって出力(行動)を変えるプログラム

【機械学習】:

【ディープラーニング】:

 

 

人工知能の分類

制御工学 人工知能

レベル1 

シンプルな制御

・エアコン

・炊飯器

あらかじめ決められた振る舞い

 

 

レベル2

古典的な人工知能

・掃除ロボット

・診断プログラム

探索・推論・知的データ利用で複雑な振る舞いをする

 

 

 

レベル3

機械学習

・検索エンジン

・交通渋滞予測

多くのデータから入力と出力の関係を学習

 

レベル4 

ディープラーニング

どのような特徴が

学習結果に大きく影響するかという特徴量を自動的に学習する

AI効果

AIに関する人間の心理。

人は機械にできることを知能として認めたくない(ただの自動化と思いたい)

 

この効果のため、人工知能のイメージが時代とともに変化し、

人工知能の貢献は少なく見積もられる

 

人工知能とロボットの違い

人工知能

ロボットの脳にあたる部分

目に見えない「考える」ということを実現する

 

ロボット

脳以外の部分

 

人工知能研究の歴史

世界初の汎用コンピュータ

1946年 アメリカ ペンシルバニア大学で  エニアック(ENIAC)

       という17468本の真空管で作った巨大計算機が最初

 

ダートマス会議

◆エニアックの誕生から10年後、1956年 ダートマス会議でジョン・マッカーシーが
 初めて人工知能という言葉を使った。

◆世界初の人工知能プログラム「ロジック・セオリスト」という数学の定理を証明する
 プログラムがデモンストレーションされた。

 

人工知能研究ブームと冬の時代

ブームと冬の時代が繰り返されている

  • 第1次人工知能ブーム 1950年代後半~1960年代 探索・推論の時代
         ダートマス会議をきっかけにブームが始まる。
         パーセプトロン:人間の脳神経回路に似せて作った学習モデル。
         
         翻訳など特定の問題について解を提示できるようになった
                   1966年  チャットボットの元祖 イライザ (ELIZA)が登場ジョセフ・ワイゼンバウム
         ルールに従って文を返すが人間と対話している錯覚(イライザ効果)に陥る
         チューリングテスト:人間に近い知能を持っているかを判定するテスト
         トイ・プロブレムは解けても現実の複雑な問題は解けないとしてブームは冷める
  • 第2次人工知能ブーム 1980年代 知識の時代
         コンピュータに特定の分野の知識を与え、専門家のように推論・判断を行う
         エキスパート・システムが多数作られた。
         例)MYCIN:血中の細菌を診断し抗生物質を処方する
         例)DENDRAL:有機化合物の分子構造を推定する
         意味ネットワークで言葉を理解しないAIに単語の関係性で意味を理解させる
         政府による第5世代コンピュータプロジェクトなど
         大量の知識を与え管理するコストが大きいことがわかると冬の時代へ

  • 第3次人工知能ブーム 2010年~ 機械学習・特徴表現学習の時代
         ビックデータを用いることで人工知能が自ら知識を獲得する機械学習が実用化
         特徴量を自ら学習するディープラーニングも登場(特徴表現学習)

代表的な国際会議

  • IJCAI(International Joint Conference on Artificial Intelligence)
    AAAIが主催する人工知能分野でトップの学術会議
    国際人工知能学会とも呼ばれる
  • AAAI(Association for the Advancement of Artificial Intelligence)
    1979年に設立された人工知能に関する非営利学術団体
    アメリカ人工知能学会とも呼ばれる
  • CVPR(Conference on Computer Vision and Pattern Recognition)
    アメリカのパターン認識に関する学術会議
  • NeurIPS(Conference on Neural Processing System)
    ニューラルネットワークに関する国際会議
  • ICML(International Conference on Machine Laerning)
    機械学習に関する国際会議
     

2.人工知能分野の問題

◆人工知能分野で議論されている代表的な問題について説明できる

◆汎用的な人工知能の実現可能性について、いくつかの例を取り上げて説明できる

 

キーワード

【トイ・プロブレム】:現実の問題をコンピュータで扱えるように簡略化したもの

 

【シンギュラリティ】:人間を超える超知性のこと。想像できないような変革が起きる転換点

           アルファ碁の勝利などがシンギュラリティの期待と不安をさらに高めた。

【フレーム問題】:今しようとしていることに関係のあることだけを選び出すことは難しい

         特化型人工知能ではこの問題は生じない

 

【シンボルグラウンディング問題】:フレーム問題と同様に人工知能の難問。

         シンボルとその対象がいかにして結びつくかという問題

         シマがあるウマを見てシマウマだとわからない

【身体性】:知能が成立するためには身体が不可欠という考え方

      人間は身体のセンサーを通して得た膨大な情報を複合的に知覚している

【チューリングテスト】:人工知能ができたかを判定する方法の1つ。

            人間がコンピュータと会話し、相手がコンピュータだと

            見抜けなければ知能がある、とするもの

【ローブナーコンテスト】:チューリングテストに合格する会話ソフトウェアを目指すコンテスト

【強い AI と弱い AI】:人工知能に関する2つの考え方
   強いAI⇒人間の心や脳は情報処理なので、本物の心を持つ人工知能は実現できる

   弱いAI⇒人工知能は人間の心を模倣するだけで本物の心を持つことはないが、
       便利な道具であればよい

【中国語の部屋】:弱いAIを説明するための思考実験

    英語しかわからない人を中国語のマニュアルがある部屋に閉じ込め、

    マニュアルを使えば中国語の質問に回答できる。外から見ると

    中国語を理解しているように見えますが、実際は理解はしていない。

      チューリングテストを拡張した心や意味がどこに存在するかという問題を示唆

【ルールベース機械翻訳】:1970年代後半~ 辞書やルールに基づいて翻訳

【統計的機械翻訳】:1990年代~ コーパスをもとに統計的に翻訳する。

          実用レベルにならなかった。

          膨大な一般常識がなければ訳せないという問題がある

【ニューラル機械翻訳】:2016年 Googleが採用 精度が上がり実務で使用 

【知識獲得のボトルネック】:一般常識のように膨大な知識を獲得することの難しさをいう