a.質問のスキル
相手の視点を変える問いや、相手の思考を活発にする問いを発してみる。
「その時、君は何を感じた?」「自分ではなぜだと思う?」
⇒自問自答する機会を与えることになる
⇒自己理解を深めることになる
⇒自問自答の習慣づけ
⇒自分自身で考えるようになる
b.傾聴のスキル
中立的な視点で、否定せず、評価せず、だた受け止める
沈黙してもかまわないと伝える
プレーヤーは「自らの内側を傾聴するようになる」⇒成長
c.承認のスキル
相手の存在や発言をただそのまま受け止め、それを表現すること
「受容」するだけ。(誉めも賛同もしない)
そのままオウム返ししてあげる。または要約してあげる。
d.フィードバック
質問・傾聴・承認をした後、適切なフィードバックをする。
「私」を主語にして話す。
「(私は)最近、君が意欲的だと感じるよ」
新たな質問をしてもよい
好ましい行動をとったとき、ほめることは技能の獲得と定着を促すことが
科学的に証明されている(菅原, 2018)
ほめられた行動は、その後も起こりやすくなる
・良い行動をとった直後にほめる(60秒以内)
・簡単な言葉でよい
・結果よりもセルフコントロールにつながるプロセスをほめる
・部分的に出来ているところをほめる
・プレーヤーの主体性を引き出すことにつながる
なんでもいいからほめればよいのではない
「最近がんばってるな」などのように漠然とほめてはならない
このプレーヤーのこの行動を増やそう という意図をもってほめる
<ほめるコツ>
・ほめるところをいつも探す
・すぐにほめる
・短い言葉でほめる
・勇気を出してほめる
・意図をもってほめる
・うそやお世辞は言わない
コーチングの本質と言えるコミュニケーション
a.課題を翻訳する
あいまいな目標を具体的で操作可能な行動のレベルに落し込むこと(行動的翻訳)
「シュートがうまくなりたい」
⇒ゴールの隅にシュートを打てるようになりたい
⇒速いスピードのシュートが打てるようになりたい
⇒ゴールキーパーの動きを見極めたシュートを打てるようになりたい
b.課題を分解する
課題を整理するために分解する
パスを受ける━┳━「いつ」が出し手と受け手で共有されている
┣━受けてがパスを受けられるだけの空間を確保している
┗━相手の矢印を利用できている
分解 ⇒ 問題を理解 ⇒ 問題解決策を考える
問題を理解せずに解決策に手を出すこと「解決策飛びつきの罠」
「どうなってるのかな?」と考えてから解決に入る
課題が解決された状況をイメージする
・自分はどういう状況を望んでいるのか
・どうなれば課題が解決されたことになるのか
a.アクティブラーニングとしてのファシリテーション
アクティブラーニング:「課題の発見と解決に向けて、主体的・協働的に学ぶ学習」
<2種類のミーティング>
・情報を伝達するだけ、結論が決まっている
・問題解決のために 対話によって意見を出し合い、出された意見をまとめる
(ファシリテーション を用いる)
b.ファシリテーションとは
参加者の違いを活かしながら、相互作用な中で、創造的な成果に結びつける技法
c.ファシリテーションの3つのポイント
①みんなを喋らせる 主役ではなく助産師 その気にさせる そそのかし役
・目的を示す
・今日のゴール どうなっていてほしいか
・今日の議題について参加者は何を知っていて何を知らないか
・今日の議題について参加者はどのような考え・意見を持っているか
②プロセスを大事にする
・プロセスに関与し、対話の内容には関与しない
・参加者が自分たちが主役だと感じられる場づくり
③ゆるやかなルールでフリートーク
自由奔放:誰かを傷つけなければ聖域なし。突飛な意見でもOK
批判厳禁:下級生などからも意見が出やすいようにする
便乗歓迎:誰かの意見に付け足し意見 発展させる
質より量:意見の良し悪しは後で考え、まずは多様な意見がたくさん出るように配慮
d.ファシリテーションの効果
1)参加者の相乗効果で 盛り上がる
主張の強い人の意見だけでなく少数意見も大切にする
2)結論が自分ごとになる
多様な意見が統合されてゆくプロセスを体験し、「三人寄れば文殊の知恵」を実感する
個人攻撃の罠:プレイヤーのパフォーマンスが低いとき、それをプレイヤーやコーチ自身の
能力・適性・やる気のせいにしてしまい、改善しようとしないこと。
これに陥らないように気を付ける。
「それなりの理由があるはずだ」
「改善できる原因はどこにあるのだろう」
目の前にいる学び手にとって適切なコーチングが行えるよう、自らを省みる。
チームの目標達成に向けて、メンバーに影響を与えるプロセス(行動的、心理的、社会的)
良いコーチ = 良いリーダー
a.多角的リーダーシップ理論
最も古いが現在も大きな影響を与えている理論。
変革型リーダーシップを基盤としている。
b.変革型リーダーシップとフルレンジモデル
変革型リーダーシップとは:ビジョンを示し、モティベーションを鼓舞して
効果的にメンバーの力を引き出しながら集団を率いる
変革型リーダーシップのための4つの行動
1.理想的な影響 ついていきたいと感じさせる
2.鼓舞する動機付け 目標に積極的に関与するよう促す
3.知的刺激 メンバーのアイデアを引き出す
4.個別配慮 多様性を認めて成長を支援する
c.コーチと選手の関係性モデル
3+1Cモデル:指導者と選手の関係性に必要な4つ
親密性(Closeness) 尊敬や信頼
コミットメント(Commitment) 関係性を続ける意思を持つ
相補性(Complementarity) お互いの意見に応えつつ協働する
コオリエンテーション(Co-orientation) 相互理解
選手からコーチに働きかけることも促すべき
d.コーチのリーダーシップスキル
4つのリーダーシップスキル
1.認知スキル 伝える、聞くなど基盤スキル
2.対人スキル 選手と良い関係を築く
3.マネジメントスキル 生産性を高める
4.ストラテジックスキル PDCA
リーダーの成長には、3つの経験が必要
1.チャレンジ 例)多様な人材と働く
2.フィードバック 成長のための情報をもらう
3.サポート 失敗したときに支えてもらう
学ぶ能力
アスリートリーダーの4つの役割
課題リーダー フィールド・コート内で
社会的リーダー フィールド・コート外で
モティベーションリーダー 励ます、切り替えさせる
外部リーダー チームの外部との関係を結ぶ
状況を変えるのは行為である
正確さよりも、行為を生み出すもっともらしさが大切。
カネもポストもなくても承認せよ
認め合っている関係=一体感
因果関係を明らかにする 「こうだから、こうである」
課題を整理・分析する 「詳細に・正確に」
枠にとらわれず自由奔放に 「事実にとらわれない」
客観的に問いかける「本当に正しいか」
目標を設定する、現状を把握する、ギャップを知る
課題解決に必要な正しい情報を収集し、整理する
分析し、解決策を具体化し、実行して、評価する
多様な思考 が、この過程を支えている