当事者の権利・義務

保険者の権利・義務

交付義務

保険者は保険契約を締結したら、遅滞なく 保険証券を交付しなければならない

              (1週間以内) 申込書控えもあるので。

 

記載事項 (保険法6Ⅰ)に規定

記載事項を法定化する理由:証券は成立や内容を証明する機能

            契約そのものは諾成契約

 

◆保険証券

 保険者が作成・交付。 成立と内容を証明する。

 

<保険証券の法的性質>

 1.要式証券性 ⇒記載事項が法定化されている要式証券

          交付は成立要件ではない(非要式契約性)

 2.証拠証券性 ⇒成立および内容を証明する

 3.非説権証券性⇒それによって法律関係が生じるものではない

          署名してないので契約書ではない

 4.免責証券性 

 5.有価証券性 ⇒保険金請求権者を記載した記名式証券

 

保険料の返還義務が生じるケース

◆契約の無効

 1.被保険利益がない 

   保険者の責任負担が生ずる可能性がない

   傷害疾病損害保険で保険者の責任開始前に被保険者が死亡

 2.遡及保険で、契被が保険事故が発生していることを知っているとき(保険5)

 3.契約内容に片面的強行規定に反する規定がある場合(保険12・26)

 4.契約が公序良俗に反する場合(民90)

 5.契約につき要素の錯誤がある場合(民95) 

 

◆責任開始の解除・失効

 ・成立していても責任が開始していない場合、契約者は解除できる。

 ・責任開始前に目的物の滅失など保険者の危険負担が消滅。

 

◆責任開始の解除・失効

 ・契約者による詐欺・強迫により取消となった場合、保険料返還義務なし

 ・約款規定 告知・通知義務違反の場合、無効・失効の場合、取消の場合

 ・事項 保険料返還義務は3年で消滅(保険95Ⅰ)

 

契約者の権利

・減額請求権(保険10) ⇒ 保険価額が著しく減少したとき

・保険料減額請求権(保険11)⇒ 危険が著しく減少したとき

・契約解除権(保険27)

・保険証券の交付請求権

 

被保険者の権利

・保険金請求権(保険8) 損保の場合

・契約者に対する解除請求

 

契約者の義務

◆保険料支払義務

・契約者が破産宣告を受けた場合、被保険者に支払義務あり

・保険料支払義務 1年で時効(保険95Ⅱ)

 

◆支払方式

前払が原則

【一時払い】:保険期間全般の保険料を一度に支払う

【分割払い】:「第1回保険料」「第2回以降保険料」

 

◆支払場所

保険者の営業所 ⇒ 持参債務  (実務では取立債務)

 

◆支払前免責条項

住宅保険、自動車保険分野の約款では、保険期間が始まった後でも

保険料領収前の事故に対しては保険金を支払わない。

 

 ➀アフターロス契約

  領収前免責事項がある契約で、保険事故発生後に支払ったにもかかわらず

  発生前に支払ったかのように装う契約。

 

 ➁責任持ち特約 保険料の支払猶予の合意(行政通達で禁止)