全般に使用者よりの判例法理となっている。
長期的雇用慣行、解雇権濫用の防止、年功的賃金 を守るため、
包括的な労働契約内容、使用者の広い裁量 が認められている。
業務命令の種類
業務命令の範囲 ⇒ 労働契約の範囲内
配置転換・・・労働者の職種/職務内容/勤務場所を同一企業内で長期に渡って変更すること。
転居を伴うものを「転勤」という
企業外の場合を「出向」といい区別される。
使用者には配転命令権がある。 が無制限ではない。
配転命令の限界
業務上の必要性なし ⇒ ✖
業務上の必要性あり ⇒ 不当な動機/目的 ⇒ ✖権利の濫用
通常甘受すべき程度を著しく超える不利益 ⇒ ✖権利の濫用
業務上の必要性
余人をもっては容易に替え難いといった高度の必要性に限定することは相当でない。
通常甘受すべき程度を著しく超える不利益 の例
業務上の必要性 と 労働者の被る不利益 の程度の比較衡量
これが認められる例は少ない = 個別的合意なく配転を命じることができる
不当な動機/目的 の例
【育児介護休業法26条】:
当該労働者の子の養育または家族の介護の状況に配慮しなければならない。
【労働契約法3条3項】:
労働契約は、仕事と生活の調和にも配慮しつつ締結し、変更すべきものとする。
出向とは・・・使用者との労働契約を維持しつつ、長期に渡って他の企業の指揮命令に服すること。
(企業間人事異動)
<出向先に移るもの>
就労に関わる権利義務
<出向元に残るもの>
就労を前提としない権利義務
労働契約関係の存否・変更に関するもの
配転は・・・個別的合意なく命じることができる
出向は・・・
⇒重要な契約要素の変更 = 原則労働者の合意が必要
【民法625条1項】:使用者は労働者の承諾を得なければ、その権利を第三者に譲り渡すことはできない。
【新日本製鐵事件】
就業規則と労働協約に出向者の利益に配慮した規程がある場合
⇒個別的合意なく出向を命じることができる。
出向命令の限界
【労働契約法14条】
使用者が労働者に出向を命ずることができる場合において、当該出向の命令が、その必要性、対象労働者の選定に係る事情、その他の事情に照らして、その権利を濫用したものと認められる場合には、当該命令は、無効とする。