労働法 → 雇用平等

雇用モデルと法的問題

日本的雇用慣行

  • 長期雇用(終身雇用)
  • 年功序列
  • 企業別組合

長期雇用:新卒者を一括採用し、定年まで雇用、長期的に人材育成

 

労働者モデル:長期的に雇用できる労働者 =男性正規労働者

                   ⇔女性労働者、非正規労働者

 

であったが、状況は変わってきた。

  • 労働者の需要増加
  • 女性の高学歴化による女性の社会進出  
  • 第三次産業の成長による女性の参入促進 ➝ 男女間体力格差問題なし
        ⇒男女間処遇格差が問題化
  • 非正規労働者の仕事内容の変化(臨時的業務 ➝ 恒常的業務)
        ⇒正規・非正規労働者間格差が問題化(次講テーマ)

 

男女平等法制

均等待遇に関する労基法上の規制

 

【労働基準法3条】:労働条件における均等処遇(国籍、信条、社会的身分)

         cf.憲法14条の差別禁止事由(人種、信条、性別、社会的身分、門地)

 

【労働基準法4条】:女性に対する賃金差別の禁止

         合理的な理由のない異なる取扱い

 女性は一般的に勤続年数が短い、能率が低い、主たる生計維持者でない等を理由に

 男女間で異なる賃金の取扱い ➝ 差別

 

しかし労働条件全般で男女間差別を規制する法律はなかった。

 

1980年代 女性差別撤廃条約の批准を目指して、その水準を充たすべく

国内法として男女雇用機会均等法が制定された。

⇒あらゆるステージにおける男女間の平等処遇

 

 

男女雇用機会均等法

男女雇用機会均等法の内容

  1. 募集・採用、配置、昇進における男女間の機会均等

  2. ポジティブ・アクション
    過去の慣行や性別の役割分担意識などにより、女性が能力を発揮しにくい場合に、
    是正するための積極的な取り組み(女性優遇措置)を差別の例外として許容

  3. セクシュアルハラスメント防止措置義務
    a.セクハラはあってはならないという方針の周知
    b.相談窓口の定め
    c.相談の申し出があった場合の事実確認
    d.事実確認に基づく適切な措置
  4. 間接差別の禁止
    a.採用に際し、労働者の身長、体重、体力に関する要件を設けること
    b.総合職の採用に際し、転勤に応じることを要件とすること
    c.昇進に際し、異なる事業場への配転経験を要件とすること
  5. 妊娠を理由とする不利益取扱いの禁止
    a.労基法上の母性保護措置、均等法上の母性健康管理措置を受けたことを理由とする不利益取扱いの禁止
    b.妊娠、出産に起因する症状による労務不提供や能率低下を理由とする不利益取扱いの禁止
    c.妊娠中や産後1年以内の不利益取扱 ➝ 妊娠、出産を契機とするものと推定 ⇒原則無効

 

<不利益取扱いの例>

  • 解雇、退職の強要
  • 契約更新の拒否
  • 降格、減給
  • 不当な配置転換など

 

紛争解決制度
男女雇用期間均等法 独自の紛争解決制度

  1. 苦情の自主的解決
  2. 労働局による紛争解決の援助
  3. 機会均等調整会議による調停

 

高年齢者雇用 と 法

労働力人口が減少する中、経済社会の活力の維持、社会保障制度の支え手を確保 の必要性。

 

老齢厚生年金の支給開始年齢の引き上げ ⇒ 定年年齢と年金支給年齢とのギャップ

 

 

年齢制限に関する規制

【雇用対策法10条】:募集・採用時の年齢制限禁止

【高年齢者雇用安定法18条の2】:募集・採用についての理由の掲示等

   ⇒年齢に関わらない募集・採用

 

【高年齢者雇用安定法8条】:定年は60歳を下回ることができない

 

【高年齢者雇用安定法9条1項】:企業は以下のいずれかの措置を取らなければならない

  1. 65歳までの定年の引き上げ
  2. 継続雇用制度の導入
  3. 定年の廃止

 

原則、希望者全員を再雇用 

そのために

企業グループ内で再雇用先を確保することを許容

 

再雇用後の賃金が退職時の75%未満の場合は、

高年齢雇用継続基本給金 or 高年齢再就職給付金の支給

 

障害者差別の禁止

障害者雇用促進法の改正

2006年 国連で「障害者権利条約」を採択。 同条約の批准を目指して、

2013年 障害者雇用促進法の改正。

  • 雇用における障害者差別の禁止
  • 事業主による合理的配慮提供義務
  • 法定雇用率制度に精神障害者を位置づける(精神障害者の雇用の促進)