債券市場は、債券取引が行われる市場で、公社債市場とも呼ばれる。
債券市場の特徴
・取引額が大きい(億歳は1回の取引で数千億円)
・メインプレイヤーが機関投資家などのプロ
・債券の種類や銘柄数が多い 複雑な仕組みの債権もある
発行体 : 国、地方公共団体、事業法人、金融機関、非居住者 など
発行形態 : 利付債、割引債、仕組債、転換社債(Convertible bond、CB)
資産担保証券(Asset backed security、ABS) 住宅ローンなど
募集形態 : 公募、私募(プロ私募、少数私募)、縁故
担保の有無など : 担保付き、無担保、優先債、劣後債
クーポンの有無 : 固定利付、変動利付、ゼロクーポン(割引債)
償還方法 : 満期一括償還、途中償還(定時、買入、任意)、満期なし(永久債)
国債 : 長期国債(10年)、超長期国債(20、30、40年)、中期国債(2年、5年)
短期国債(1年、3か月、5か月)、変動利付国債(15年)、
物価連動債(10年)、個人向け国債(固定3年、5年、変動10年)
地方債:公募地方債、縁故地方債、私募地方債
特殊際:独立行政法人などが発行
政府保証債、政府関係機関債、(財投機関債、非保証)
金融債:みずほ、新生、あおぞら、信金中金、商工中金が発行するもの
利付金融債、割引金融債
社債:普通社債(一般社債、NTT債、電力債など)、転換社債、資産担保証券
外国債:ユーロ円債(日本企業が海外で発行、居住者外国発行)
サムライ債 (非居住者国内発行円建て)
ショーグン債(非居住者国内発行外貨建て)
◆利付債
一定期間ごとに発行者が利金(クーポン)を支払う債券。
利率が一定の固定利付債と利率が変動する変動利付債がある。
例)額面100円、5 年満期一括償還、年1 回利率1 %の確定利付債
◆割引債
利金がない(ゼロクーポン)代わりに、額面を予め割り引いた価格で発行され、
償還時に額面全額が一括償還される債券。
例)額面100円、発行価格95円、5 年満期一括償還
※実際に発行されている債券の多くが利付債であるが、
ファイナンス理論では、割引債は最も重要な金融商品である
<社債発行市場の関係者>
発行体:社債を発行して資金を調達する資金の借り手
引受会社(証券会社):
投資家に債券を売りさばく目的で全額または一部を一時的に保有投資家の需要を調査し、
社債の発行額、クーポン、発行日などを決定
複数の引受会社が共同で1 つの債券を引き受けることが多い(シンジケート団)
社債管理会社:社債権者(投資家)を保護するためのモニタリング
債権保全手続
発行体デフォルト(倒産)後の債権回収
格付機関:債券発行体の元本および利子の支払い遂行能力を中立的立場から評価
ムーディーズ、スタンダード・アンド・プアーズ(S&P)、R&I など
投資家:社債を購入して発行体に資金を提供する資金の貸し手
◆競争価格入札(コンベンショナル方式)
・クーポン・レートを予め決めておき、価格を入札させる方式
・入札価格の高いものから発行予定額に達するまで順次落札
・落札者は各自入札価格で国債を取得
・ほとんどの国債はこの方式で入札される
◆イールド競争入札(ダッチ方式)
・クーポン・レートを最初に決めず、利回りを入札させる方式
・利回りの低いものから発行予定額に達するまで順次落札
・ただし、クーポン・レートと発行価格は落札最高利回りを基準に決定され、
全ての落札者は同一条件で国債を取得
・超長期国債や物価連動債はこの方式で入札される
◆取引所取引
・現在では取引所で債券(現物)を取引することは稀
◆店頭取引
・様々な市場参加者が相対取引で債券を売買
・証券会社がマーケットメイク(市場価格の提示)、
ブローカーズ・ブローカ(BB)が電子取引を提供
・国債は非常に流動性が高い(売買が頻繁、取引金額が大きい)
◆補完市場
・債券現先取引:一定期間後に債券を売り戻す(買い戻す)条件で
買い入れる(売却する)取引
・債券レポ取引:債券を空売りした際の現物を調達する取引
・債券先物(listed)、債券現物オプション(OTC)、
債券先物オプション(listed)などの債券デリバティブ市場
◆市場価格の形成
・店頭市場では各証券会社(マーケットメーカー)が売値(ask、offer)と
買値(bid)を提示
・売値と買値の価格差は証券会社が得られる売買手数料(transaction cost)
・公社債店頭売買参考統計値が毎日、市場が閉まった後に公表される
・当日午後3 時時点の約7,000 銘柄の気配値を主要会員から集計
◆債券の決済制度
・債券売買の決済は約定日(売買が成立した日)から2 営業日後(T+2)
・債券と売買代金を同時に受け渡すDVP(delivery versus payment)方式
・2012 年3 月までは国債売買の決済はT+3 だった(決済の短縮化)
・2003 年「社債等の振替に関する法律」が制定、
2008 年までに債券はペーパーレス化
キーワード
・国債、地方債、特殊債、金融債、社債、外国債
・利付債、割引債
・社債発行市場…発行体、引受会社、投資家
・国債発行市場…価格競争入札、イールド競争入札
・債券流通市場…店頭取引(マーケットメイク)