◆総生産の定義1
<実質>生産量ベース
国内で、ある一定の期間に、市場で取引されるために、新たに生産された、財・サービスの総量
◆総生産の定義2
<名目>貨幣ベース
国内で、ある一定の期間に、 新たに生産された、市場価値の合計
名目総産量の問題点:生産量の変化だけでなく、価格の変化も反映してしまう。
生産量(消費)が大事なのに、、、。
【実質生産量】:
基準年の価格を当該年の生産量をかけて全ての財・サービスを合計したもの。
生産量の変化のみを反映する尺度。
【中間生産物】:最終生産物の生産工程で生産された財・サービス
【最終生産物】:最終的に家計や企業が購入し使用する財・サービス
中間生産物はGDPに含めない。
(最終生産物の市場価値に含まれているため)
例)小麦 ⇒ 小麦粉 ⇒ パン
40円 100円 175円
パンが最終生産物 総生産には175円のみを加算する。
◆総生産の定義3
ある国が一定期間内に新たに生み出した最終生産物の市場価値の合計
総生産は各生産段階で生み出された付加価値の合計 ともいえる。
小麦の例では、
農家は小麦を生産し40円の付加価値を生み出した。
製粉業者は、60円の付加価値を生み出し100円で売った。
パン屋は、75円の付加価値を生み出し、175円で売った。
◆総生産の定義1
ある国が一定期間内に新たに生み出した財・サービスの付加価値の合計
需 要 側 | ||||||||
中間財 | 最終財 | 生産額 | ||||||
製粉業者 | パン屋 | 民間消費 | 民間投資 | 純輸出 | ||||
供
給
側 |
生 産 者 |
製粉業者 | 40 | 100 | ⁻10 | -30 | 100 | |
パン屋 | 175 | 175 | ||||||
生 産 要 素 |
労働所得 | 55 | 55 | |||||
資本所得 | 5 | 20 | ||||||
生 産 額 |
100 | 175 |
総生産 = 総支出 = 総所得 (恒等式)
※この3つは国全体で必ず一致する
【総支出】:国内で、ある一定の期間内に、生産された財・サービスに対して行われた支出の合計
【総所得】:国内で、ある一定の期間内に、生産された財・サービスの対価として得られた所得の合計
※財が売れ残ったら・・・生産者が自ら購入したとみなす(三面等価が保証される)
◆新たに生産していないためGDPに含まれないもの
・中古品の売買
・株式や土地の値上がりによる収入
◆市場で取引されていないためGDPに含まれないもの
・家事や育児(業者に頼めば含まれる)
・地下経済の取引
◆市場で取引されていないのにGDPに含まれるもの
・賃貸住宅に住んでいる場合、住宅サービスを購入しているとみなし家賃がGDPに含まれる
・持ち家に住んでいる場合、自分で自分に家賃を払い、受け取っているとみなす(帰属家賃)
・公共サービスは公務員の給与がGDPに参入されている。
4つの経済主体と 4つの総支出項目
経済主体 | 支出項目 | |
家計 | 家計消費 | 消費(C:Consumption) |
住宅投資 | 投資(I:Investment) | |
企業 | 設備投資 | |
在庫投資 | ||
政府 | 政府消費 | 政府購入(G:Goverment Purchases) |
公的投資 | ||
外国 | 輸出―輸入 | 純輸出(NX:Net eXport) |
総生産(=総支出)Y = C + I + G + NX
【消費】:家計による財・サービスの購入
(住宅購入は投資に分類される)
◆消費対象の種類
非耐久財・・・食料品、電気、ガス、水道など
半耐久財・・・衣料品など
耐久財・・・・自動車、家具、家電製品など
サービス・・・医療、交通、通信、教育、娯楽
【投資】:将来も引き続き使用する財の購入
◆投資の分類
住宅投資・・・家計による住宅の購入
設備投資・・・企業による生産設備の購入
在庫投資・・・企業の持っている在庫ストックの増減
在庫は投資とみなされる
在庫増加 ⇒ 正の在庫投資
在庫減少 ⇒ 負の在庫投資
※売れ残りは「正の在庫投資」とみなすことで
総生産 = 総支出(三面等価)を成立させる
【政府購入】:中央政府と地方自治体を含む政府による財・サービスの購入
◆政府購入の分類
政府消費・・・政府による消費支出(公務員の給与など)
公的投資・・・政府による投資的支出(高速道路建設など)
◆政府購入に含まれないもの
年金、失業保険、生活保護などの支払は移転支出といい
歳出の一部ではあるが政府購入には含まれない。
【純輸出】:輸出から輸入を差し引いたもの
純輸出 = 輸出 - 輸入
GDP 約500兆円のうち、純輸出はほんの少し。
年度によっては貿易赤字で0未満になることも。
消費が一番多く半分以上を占める。
民間投資よりも政府購入の方が多い。
【資本ストック(K)】:ある時点における国内の資本財の総量
【資本財】:企業の生産設備や家計の住宅
総貯蓄(S)= 総所得(Y)- 消費(C)- 政府消費(Gc)
これら↑はフロー変数 使ってないものは貯蓄
【物価水準(P)】:取引されている全ての種類の財・サービスの平均的な価格
名目値 = 物価水準 × 実質値
500円 100円 5個
(貨幣単位)(財単位)
物価水準 = 名目値/実質値
全ての財・サービスの物価指数の一種
<特徴>
基準年は名目GDPと実質GDPが等しくなるのでGDPデフレーターは100%となる
右図は、「名目値」「実質値」「デフレータ」の計算式を図解したもの。各項目の成長率も同様でこの図が使える。
※物価は、名目値がある方に向かっている。
名目値が実質値を上回っている=物価は上昇
名目値が実質値を下回っている=物価は下落
消費税
1989年4月 3%
1997年4月 5%
2014年4月 8%
2019年10月10%
【消費者物価指数】:日本の平均的な家計が購入する財・サービスの平均的な価格 消費(総務省)
【企業物価指数】:企業間で取引される財の平均的な価格 投資(日本銀行)
・速報性に優れている
・毎月公表される(⇔GDPデフレーターは四半期に1度)
◆GDPデフレーター (パーシェ指数)
[当該年の価格 × 当該年の数量]の総和 /[基準年の価格 × 当該年の数量]の総和 ×100
◆消費者物価指数 (ラスパイレス指数)
[当該年の価格 × 基準年の数量]の総和 /[基準年の価格 × 基準年の数量]の総和 ×100
消費者物価指数は、当該年の数量が不要なので速報性に優れる