古典派の命題群

命題1 名目賃金率(w)は伸縮的であり、完全雇用が成り立つ

物価水準が上下しても、労働市場で名目賃金が調整され、完全雇用水準でAS曲線は垂直となる。

 

命題2 実質利子率(r)は、財サービス市場の需給バランス(ISバランス)によって決まる

命題3 古典派の二分法

「実物変数」は、実物市場の需給バランスによって決まり、

「名目変数」は、貨幣市場の需給バランスによって決まる。

 

【実物変数の例】

実質GDP水準(Y)、民間投資(C)、民間貯蓄(S)、民間投資(I)、

実質利子率(r)、実質賃金率(w/P)、雇用量(N)、実質貨幣需要量(L)、実質貨幣供給量(M/P)

 

【名目変数の例】

名目GDP水準(PY)、名目利子率(i)、名目賃金率(w)、物価水準(P)、インフレ率(ΔP/P)

 

命題4 貨幣の中立性

実物変数に対して中立であるという主張。

名目貨幣供給量(M)の変化は、実物変数を変化させない。名目変数だけを変化させる。

 M↑ ≠ Y↑

 

命題5 貨幣数量説

名目貨幣供給量(M)の増加は、その増加率に等しい名目変数の増加を発生させる。

すなわち、

ΔM/M = インフレ率 = 名目賃金率の上昇率 = 名目GDPの成長率

 

命題6 完全なクラウディングアウト

拡張的財政政策は、民間需要を完全にクラウディングアウトする。すなわち、

  ΔC + ΔI + GΔ = 0

 

 

古典派の第1公準

実質賃金率は、労働の限界生産性に等しい  (ケインズが言う)

   w/P = MPL

 

古典派の第2公準

労働供給量は、実質賃金率と労働の限界不効率が等しくなるように決定 (ケインズが言う)

  Ns      w/P = MUL/MUc 

 

リカード・バローの等価定理

「等価」・・・消費水準が等しいこと。

 

前向き予測の消費者の選択は、財政支出の増加に対する政府の資金繰りの方法に影響を受けない。

(公債発行、増税)

公債発行は将来の増税なので、時期が異なるだけで生涯の効用は変わらないと理解するから。

 

古典派とケインジアンの比較

  古典派の系譜 ケインジアン
1970年代まで 1980年代後半以降 
市場 価格メカニズム

需給調整として

速やかに機能

想定していない 緩やかに機能
自由競争

私的所有制と共に

市場経済の根幹

阻害・摩擦要因あり

財政

政策

クラウディング

アウト

完全に起こる 不完全に起こる

公債発行・

増税の差

なし

リカード・バロー

の等価定理

公債発行>増税  ー
減税 消費に影響なし 消費にプラス効果  ー
慢性的な財政赤字 消費に悪影響 景気回復  ー
流動性の罠 疑問 深刻な状況下で発生  ー
長期効果 効果なし、攪乱の要因  ー

金融

政策

景気

効果なし、

貨幣数量説 &

貨幣の中立性

効果あり、

流動性の罠に

入ってなければ

効果あり、

インフレ率抑制

安定化政策

長期効果 効果なし、攪乱の要因 効果なし、攪乱の要因 
政府による総需要管理政策

効果なし、

ルール化すべき

効果あり、

裁量的にすべき

効果あり、

積極的介入の必要性

短期的供給ショック

の吸収 

主体の経済上の予測・行動

前向き予測(長期)

合理的期待形成

将来を考えていない

近視眼的(短期)

前向き予測(長期)

合理的期待形成