1.経営の課題は顧客創造にある
2.顧客創造は未だ満たされざるニーズを満たすことで達成される
3.顧客創造によって組織は成長し、社会も発展・改良し、働く人も増える
4.顧客創造を担うのはマーケター。マーケターは組織の司令塔。
他の部門はマーケティングを補完する機能。
顧客満足・・・改良で不満点をなくし、売れない理由を消していく
顧客創造・・・社会において未だ満たされざるニーズを満たす。売れる理由を創る
マーケティング近視眼を避ける
ウォンツ・・・ドリルが欲しい(近視眼)
ニーズ ・・・穴を開けたい (奥にあるニーズ)
鉄道という手段は、輸送という目的を持っている
石油精製というサービスは、エネルギー供給という目的をもっている
業界発想のリスク
・差別化がしにくい
・すぐに追いつかれる
・価格競争に陥る
・過剰品質
製品の機能でなく価値を考える
・「IBM means Service」 IBMは機器ではなく、それが果たすサービスを売る会社だ
・スターバックス「満足を味わうひととき」
・ハーレーダビッドソン
性能で失敗した例 ⇒ New Coke 顧客の愛着(価値)を軽視し、味覚(機能)にこだわる
価値で成功した例 ⇒ Tide Coldwater 冷水で洗える(機能)を環境保護(価値)に結びつける
顧客のニーズと製品の価値を考える発想
マーケティングデザイン
価値を実現する活動のデザイン
<課題>
・性能を顧客の心に響く価値に結びつけること
・価値を顧客の心に響くコミュニケーションを用いて顧客創造すること
ターゲットとなる顧客に、どのような価値を、どのように提供するか
を考えるためのマーケティング理論
<4P>
◆Product 製品
ターゲット顧客に提供する製品・サービス
機能的価値 + 情緒的価値
◆Price 価格
顧客が支払う対価。
製品特性やターゲット属性、購入機会、市場の変化を考慮し適切な価格を決定する。
◆Place 流通
製品を顧客に届ける経路 コミュニケーション接点でもある
ターゲット属性や提供する価値の特徴をうまく組合せて設計する
◆Promotion 販売促進
製品の価値を顧客に伝え、購買活動へとつなげる活動
◆顧客満足型アプローチ
すでに顕在化しているニーズをより高いレベルで満足させるべく、
機能的価値を改良し続け、顧客満足を高めようとする。
◆顧客創造型アプローチ
潜在的なニーズを新たに探り出し、そのニーズに沿ったマーケティング活動を
デザインすることで顧客を創造する。
機能的価値 日常的なおやつ |
情緒的価値 受験生を応援する媒体 |
|
製品 | おいしいチョコレート菓子 |
受験ストレスからの解放 合格祈願 |
価格 | ファミリーパックで割安 |
なじみある価格に設定 |
流通 |
母親がアクセスしやすい スーパーマーケットで販売 |
中高生の購入スタイルに合わせ コンビニでも販売。 |
販売促進 | 認知度を高めるためにTVCMの投下 |
中高生の感情に訴えかけるキャンペーンの展開。 受験ホテル、サクラトレイン |
限られた経営資源を効率よく用いて、顧客創造をする方法としてSTPがある
市場には様々なニーズを持った顧客がいる。
個々のニーズにすべて応えることは経営資源の制約から不可能。
ニーズが多様化している市場環境では、すべての消費者に
同一のマーケティング手法で販売するのは適切なアプローチではない。
(S)セグメンテーション
・市場を様々な切り口で類似した消費者に区分けして捉える
・様々な切り口(性別、年代、居住地域、嗜好、使用シーン)
(T)ターゲティング
細分化されたセグメントに対し、自社が最も力を発揮できそうなセグメントを選定する
(P)ポジショニング
絞り込んだ顧客に、どのような価値を提供し、競合との差別化を図るかの意思決定
何を訴求するか
製品の価値は、製品自体に内在しているわけではない。
ユーザーのニーズと対応することで、はじめて価値が生まれる。
ユーザーは製品の使用により、価値の共同創造者の役割を果たす。
【価値共創】:企業以外のステークホルダーとの協働によって新たな価値を創造すること
革新的なことをしようとするほど、新しいノウハウやプロセスを組織に要求する。
例)新たな販売チャネル、生産プロセスの変更、社内の価値観の修正
顧客との対話と協働を通じて、既存の知識を刷新し、
自社内で新たな組織能力を構築することが重要。
経済学の考え方では、価格は需要と供給によって決まる
マーケティングの考え方は、企業が主体的に価格を決める
1⃣ コスト志向型設定法・・・コストを積み上げて利益を付加して設定する方法
例)コストプラス法、マークアップ法、損益分岐点の活用
2⃣ 需要志向型設定法・・・顧客の知覚評価などを踏まえ、需要者側の視点から設定
例)慣習価格法、威光(名声)価格法、端数価格法
3⃣ 競争志向型設定法・・・競合との関係で設定する方法
例)実勢価格法:プライスリーダーを基準に設定
競争価格法:シェア拡大のための低価格設定。
市場の成長期に行う。成熟期に行うと価格競争に陥る。
価格戦略
├──価格設定:プライシンクによるカテゴリーと顧客の創造
│ 需要曲線をどう定義するか
└──価格維持:競争の状態、取引関係、製品ライフサイクルが影響する
・消費者のイメージをマネジメント
・取引企業のマネジメント
が重要
1⃣ 支出の痛み ⇒消費者の納得が必要
2⃣ 品質のバロメーター ⇒価格の価値提案機能
3⃣ 社会的プレステージを表す ⇒価格の価値提案機能
売り手にとっては、利益の源泉であり競争手段
D<Sでデフレ時代にも関わらず高級品もよく売れている ⇒ 消費の二極化
プレミアム価格の製品カテゴリーを創造 ⇒ 顧客創造
1缶あたり30~40円ほど高いプレミアム価格に設定
サントリーのビール事業 46年連続の赤字、業界最下位
健全な赤字事業「やってみなはれ!」 非上場
2003年発売開始 2008年1000万ケース突破 初の黒字化
品質や製法にこだわった高級品は他にもあったがヒットはしなかった。
(エビス、地ビール)
付加価値をアピール
ハレの日の営業(ホテルや飲食店で使ってもらう)
ちょっとした贅沢(自分へのご褒美)
ギフト(せっかく贈るならプレミアム)
価格維持
・消費者のイメージをマネジメント
・取引企業のマネジメント
メーカー希望小売価格
卸売額も小売価格もメーカーが希望する(2段階建値という)
オープン価格
卸売額も小売価格も各自が自由に決める
【外的参照価格】:メーカー希望小売価格、参考価格、当店通常価格などを基準に値ごろ感を感じる
【内的参照価格】:プロスペクト理論などに基づき、自分の相場観から価格の妥当性を判断する
消費者の感じる効用
一定金額を得する効用よりも同じ金額を損するダメージの方が大きい
内的参照価格
習慣価格
値段がほぼ決まっている商品の需要曲線は、凸カーブ
通常より高いと急激に売れなくなり、通常よりも安くてもそれほど売れない。
例)缶コーヒーは120円
威光価格
ブランド品は、通常より少し安いとよく売れるが、
あまり安いとブランド力が低下し売れなくなる。
アンバサダーの仕組み
➀既存チャネルで接点のなかった顧客発見
➁既存チャネルでの対応の限界
➂新チャネルの構築と運用への顧客参加
コーヒービジネスの環境
70年代:コーヒーは喫茶店で味わう嗜好品
80年代:ドトールの台頭で安価なコーヒー
90年代:外資系カフェ(スタバ、タリーズ)でコーヒービジネスが活性化
2009年:職場用バリスタ販売
バリスタの運営を顧客が担うチャネル:アンバサダーを構築
◆コーヒーの流通
1段階)メーカー ⇒ 小売 ⇒ 消費者
2段階)メーカー ⇒ 卸売 ⇒ 小売 ⇒ 消費者
3段階)メーカー ⇒ 卸売 ⇒ 二次卸 ⇒ 小売 ⇒ 消費者
◆アンバサダーが解決した問題
・職場でのバリスタは誰が導入して運営するか
・メンテナンスは誰がやるか
◆アンバサダーの成果
・新たなチャネル開拓が顧客獲得につながった
・消費者にダイレクト
・セルアウト目的ではなく、長期の観点で継続的なチャネルとの関係性を重視
◆価値創造と市場展開
・安く手軽に飲みたいが、質にこだわる客層
⇒挽き豆包み製法でカフェのような味
・カプチーノ、ココア、抹茶ラテ、紅茶等のバリエーション
・アンバサダーとの関係を構築すること
・チャネルを通じたエンドユーザーとのコミュニケーションを通じた継続的な関係
職場のみでなく、病院、学校、カーディーラーへと拡大。
発生要因
メーカーが自社が有利になるようパワーを行使することによって発生することが多い
・報酬パワー:目標達成に対して与えられる経済的報酬
リベート、アロウワンス、特定地域の独占的販売権の付与など
・制裁パワー:目標達成に協力しなかった場合の措置
マージンの 縮小、 出荷制限、取引停止
・情報や専門性パワー:メーカーの持つ情報をどこまで伝えるかを管理
・一体感パワー:共感、帰属意識を生み出す
・正当性パワー: 流通業者に対してメーカーに影響を及ぼされるのは正当だ
と認識してもらう状況を作る
➀ 目標・権限責任 役割 の不一致
➁ 事実認識 の不一致
➂ 保有資源の差
➃ コミュニケーションの混乱
これらによって
・チャネルが崩壊する
・コストがかさむ
・利益機会を失う
チャネルコンフリクトの解決方法
➀ 強制解決
・限定的チャネルの再構築
・ブランドロイヤリティの強化
・取引方法の変更
➁ 非強制解決
・コンサルティング
・教育訓練の実施
・プロモーション支援
・技術支援
マルチチャネルを進展させたもの。
すべてのチャネルを統合し、あらゆる顧客接点で、
いつでもどこでも同じくシームレスに買い物ができる。
オムニチャネルは、顧客の行動を分析し、どこで顧客接点を持てるかを考え、
戦略を練り直す必要の認識である。
多くの情報を伝える
イメージの形成
広告は製品の価値を大きく変革することができる
➀消費者とのコミュニケーションを達成すべき段階に分け、段階によって変化を加える
➁それに応じてメディアの組合せを検討する
<この章で学ぶこと>
・訴求点の設定 ⇒焦点を絞った差別化された表現
・コミュニケーション段階と それに合う効果的なメディアの利用
・メディアミックス ⇒メディア間の統一化
保温性肌着
「ババシャツ」 ネガティブなイメージ、ファッション性がない
⇓
冬場でも着ぶくれせずにファッションを楽しめる
⇒カテゴリーイメージが刷新
訴求点の差別化
・製品特徴に特化した広告
・差別化された広告(アパレルでは多くがイメージ広告)
メディアの特徴を活かしつつ、訴求点は統一化
⇒ブランドイメージの統一化
機能性肌着 = ヒートテック
⇒他社の参入障壁に
コミュニケーション段階(顧客の心理的な段階)
1⃣ 認知/理解の段階 ⇒知名度を上げ、製品の機能や用途を知る
2⃣ 態度の段階 ⇒製品に対してイメージを形成する(主観的、感情的)
3⃣ 購買意図の段階 ⇒近い将来購買することを念頭に置いている
ヒートテックの広告戦略
1⃣ 認知/理解の段階 ⇒テレビCM(リーチ)、新聞広告(性能)
2⃣ 態度の段階 ⇒テレビCM、交通・看板広告(OOH広告で都市のファッション性を付与)
3⃣ 購買意図の段階 ⇒チラシ広告
WEB媒体は認知/理解、態度、購買意図のすべてに対応
・SNSは 認知/理解の段階
・動画共有サイトは 態度の段階
・クーポンは 購買意図の段階
【ショールーミング】:店舗で情報収集して、WEBで購入
【On to Off】 : WEBで情報収集して、店舗で購入
【リスティング広告】:検索エンジンの検索結果ページに表示される高校
【アフィリエイト広告】:設置された広告を通して、成果に応じて費用が発生する広告
【アドネットワーク広告】:多数のWebサイトを集めてネットワークを形成し、
ネットワーク内のサイトへの広告を配信する手法
【動画広告】:動画共有サイトでテレビCMのように一定時間動画を表示
【ソーシャルメディア広告】:ソーシャルメディアに情報を広める仕組みを備えた広告
【ネイティブ広告】:第三者がレビューして消費者に訴求する広告手段
AIDMAモデル
Attention(注意)、Interest(関心)、Desire(欲求)、Memory(記憶)、Action(行動)
AISASモデル
Attention(注意)、Interest(関心)、Search(検索)、Action(行動)、Share(共有)
マーケティングリサーチの流れ
インタビュー調査(6~8人でグループを作り数グループで実施)
↓
アンケート調査(量的データ)
↓
コンセント調査(アンケート形式)コンセプトが消費者に受け入れられるか
↓
パッケージ調査(シェルフ形式) コンセプトが伝わるか
発売後のリサーチも重要
探索的調査 | 検証的調査 | |
目的 |
ニーズを探索する 仮設の妥当性を探索する 課題自体を探索する |
マーケティング施策の妥当性を検証する |
実行の ポイント |
対象者は少なくてOK 先入観にとらわれず得た情報を解釈し アイデアやニーズの芽を探し出す。 |
多くの消費者に施策について評価してもらう。 施策が妥当でない場合は修正・改善する |
主な調査手法 |
インタビュー調査 オブザベーション |
アンケート調査 売上データ・POSデータ を利用した調査 |
定性的調査 |
定量的調査 |
|
概要 |
消費者の態度や行動を ありのままで収集する調査 |
消費者の態度や行動を 数値化して収集する調査 |
メリット |
実行しながら知りたくなったこと に合せて臨機応変に対応可能 |
多くの消費者に同じことを 調査したい場合に最適 |
デメリット |
大勢の人に調査できない |
予想外の答えを得ることは難しい |