◆『ビジネス版悪魔の辞書』⇒自分の考えを重厚に見せるために多用される枕詞
◆『わかりやすいマーケティング戦略』⇒
自分が将来達成したいと思っている「あるべき姿」を描き、それを達成するために
自分の持っている経営資源(能力)と
自分が適応するべき経営環境(まわりの状況)とを
関係づけた地図と計画(シナリオ)のようなもの
マーケティング戦略
・目標設定
・環境分析
・自社資源の活用
・計画策定
売上? 利益? ブランド力? 技術力?
何のために経営やマーケティングを行っているか
最終的な目標は、「経営理念」の達成
<花王の場合>
使命:「豊かな生活文化の実現」
ビジョン:「消費者・顧客を最もよく知る企業に」
基本となる価値観:「よきモノづくり、絶えざる革新、正道を歩む」
行動原則:「消費者起点、現場主義、個の尊重とチームワーク、グローバル視点」
これを実現するための下位目標、短期目標へとブレイクダウン
⇒・コンビニでの定価販売
・中高年男性を対象とした広告
社内の能力や資源に目を向ける ⇒資源アプローチ
4大資源:ヒト、モノ、カネ、情報
<花王の場合>
生活習慣病の改善に取り組んできた(エコナクッキングオイル)
自社資源の何が競争上有利か? Strength
自社資源の何が足りないか? Weakness
他社が容易に模倣できない資源の蓄積
◆マクロ環境
人口、経済、自然環境、技術、法律、文化など
◆消費者行動
誰が、いつ、どのように、何を、なぜ など
◆取引業者
供給業者、流通経路、提携企業 など
◆競争環境
誰が、どのように など
◆市場状況
<花王の場合>
マクロ環境 ⇒ 特定保健用食品(トクホ)の表記
消費者行動 ⇒ 健康志向の高まり
競争状況 ⇒ ダイエット飲料では競合なし
計画を策定する際は、必ず複数の代替案を用意する。
代替案の中から最善の方法を選び抜き、それ以外の方法は思い切って捨てる。
そこに戦略たる所以がある。
【成長戦略】:変化し続ける環境の中で自社が成長するための戦略
【競争戦略】:競争相手へ対応するための戦略
◆マーケティング機能要素戦略
マーケティングミックス各要素を個別に効果的に行うことを目的とした戦略
(内的一貫性)4Pの個々の政策が相互に整合性を持っている
◆マーケティングマネジメント戦略(進化形)
商品やブランドごとにターゲット顧客に対応したかたちで統一感をもって
マーケティングを行おうとする戦略
(外的一貫性)4Pの組合せがマーケティング環境と整合性が取れている
<マーケティングにおけるプッシュとプル>
4P | プッシュ型 | プル型 |
製品 |
・あまり知られていない製品 ・説明を要する製品 ・イメージを保ちたい製品 |
・知名度の高い製品 ・豊富な製品バリエーション ・副次的な機能の強調 |
プロモーション |
流通業者へのプロモーション ・人的販売 ・価格面での好条件 |
消費者へのプロモーション ・マス広告 ・せールスプロモーション |
流通 | 閉鎖的な流通政策 | 開放的な流通政策 |
価格 |
流通業者への高マージン (結果として高い小売価格) |
消費者へのアピール ・値ごろ感のある小売価格 ・競合より安い小売価格 |
2つの課題
➀複数ブランドを統一的・戦略的に行う視点の欠如
<花王の場合>
ヘルシアとヒューマンヘルスケア、ファブリック&ホームケア間で戦略の整合性は取れているか?
➁マーケティング領域のみでの統一的かつ最適効率化?
人事、財務、生産、研究開発といった他部署を切り離して策定された戦略
2つの課題を克服するため、
単一のマーケティングマネジメントから
↓
戦略的マーケティング
⇒全社的視点をもった戦略的方向付けと経営資源配分
個々の商品やブランドを1つの事業単位とみなす
⇒Strategic Business Unit(SBU)
複数のSBU間での内的・外的一貫性が重要
・3つの軸でSBUを決める 「誰に(顧客)、何を(機能)、どのように(技術)」
・2つの軸でSBUを決める 「市場や顧客、技術や製品」
◆製品ポートフォリオマトリックス(PPM)
◆製品ライフサイクル(PLC)
◆競争地位別の市場目標と競争対応戦略
競争地位 | 量 | ||||
大 | 小 | ||||
高 | リーダー | ニッチャー | |||
市場目標 | 基本方針 | 市場目標 | 基本方針 | ||
・最大シェア ・最大利益 ・名声 |
全方位 |
・利潤 ・名声 |
集中 | ||
低 | チャレンジャー | フォロワー | |||
市場目標 | 基本方針 | 市場目標 | 基本方針 | ||
シェア | 差別化 | 生存利潤 | 模倣 |
<花王の場合>
・目標に応じて売り方は変わる
・有する資源によって強み/弱みも変わる
・おかれた環境を見きわめることが重要
・企業は最終的には経営理念を具現化する
競争相手の行動を完全予測するのは不可能
不確実性が高い状況に対処するための戦略的計画
働いている人々の行動が統一的に1つの方向へ
環境変化への準備 + 多様な可能性の想定が重要
サッカーJリーグのアビスパ福岡は、経営危機に直面した。地元企業のふくやは「福岡の街の灯を消してはいけない」と言って、明太子のギフトセットの売り上げを全額寄付するというアビスパ応援キャンペーンを行った。明太子を購入したのは地元の人々のみでなく、全国のJリーグファンだった。
この時Jリーグファンは、明太子が欲しいから明太子を購入したのではない。アビスパを支援しようとするふくやに共感し、ふくやと一緒にアビスパやJリーグを盛り上げようとし、その手段として明太子を購入したのだ。
ここに見られるふくやとJリーグファンは、もはや売り手と買い手の関係ではない。企業と顧客が一緒になって何かを実現しようとする関係である。(⇒社会共生の関係)
1886年カールベンツがガソリン車が開発してから111年。
1997年トヨタは世界初のハイブリッド車を発売した。
技術からのアプローチではなく、社会のソフト面から考えるようにした。
少子高齢化、女性の社会進出などがあったが特に環境と地球資源の問題に関心を寄せた。
⇒21世紀の車社会が抱える課題への回答を提案できる車を開発しよう!
企業が顧客と一緒に社会の課題に取り組み、共によりよく生きる社会を実現しようとすること。
問題1 異なる考え方が存在する
・最近の考え方:社会を生きる一市民として、社会的取り組みは当然の義務である
・伝統的な考え方:利益追求することが企業の社会的責任
問題2 企業だけで意思決定してよいのか
・企業外の利害関係者の同意なしに決められない
◆自己満足型 (CSR)
本業の企業活動に関係がない取り組み
⇒経済的価値を実現する企業としての活動ではないので、企業の公共性に反する
◆マーケティング志向型 (CSR)
企業宣伝やイメージ向上のための取り組み
⇒効果がなければ、やめてしまう場合が多い
◆ベンチャー型 (CSV)
社会的課題への取り組みを先駆的事業と理解し、
それから得られる経験を本業にフィードバックする効果を考える取り組み
意義:社会の一市民としての常識を回復できる
顧客満足ではなく顧客創造
常識に捉われず、未来の価値を生み出す
社会的課題と自社の課題のつながりから新たな気づきを得る
◆本業とは異質のメンバーの加入
公共性を反映させ、社会と自社の課題間で
どのようなギャップやつながりがあるかを認識する
◆異質の社会的関係の編成
異なる常識を持ったメンバーが参加することで
これまで内部調整で済ませた内容も確認する
◆異質の意思決定ルール
公共の意見を取り組む
CSR (Corporate Social Responsibility):企業の社会的責任
CSV (Creating Shared Value):共通価値の創造
経済的価値と社会的価値は、同時に実現できるか?
マイケルポーター教授は、可能とする立場。CSVを提唱している。
マーケティングにもバージョンがあるが、変わってきたものと変わらないものがある。
変わらないもの ⇒ マーケティングの基本的構図
変わってきたもの ⇒ マーケティングの進化・発展
・早くから消費者に注目
・芸術的な広告(1896年)
・優れた品質を訴求
・小売への直接販売(1920年)
・市場調査の実施(1924年)
・ブランドマネージャー制・家庭への聞き取り調査(1931年)
・コネクト&デベロップメント(様々な関係者とのつながり、新しい価値づくり)
例)ファブリーズ、 プリングルズプリントチップス
➀ニーズを中心として、どのように消費者に対応するか(消費者への対応)
➁どのようにライバル企業に勝つか(競争への対応)
➂流通業者や他企業とどのように良好な関係を築くか(外部者への対応)
➃変化への対応
マーケティング領域の拡大
・戦略的マーケティング
・ソーシャルマーケティング(非営利、公害問題、交通事故防止、路上禁煙、CSR)
・社会責任(コーズリレーテッド)マーケティング
・生産財マーケティング (部品、B to B)
・サービスマーケティング(無形、可視化)
・グローバルマーケティング(文化の違いなどを標準化、現地化)
・デジタルマーケティング(SNSなど)
コーズ・リレーテッドマーケティング
・社会的責任や社会貢献を実現するためのマーケティング方法の1つ
・企業の収益の一部がある社会的課題の解決に役立てられることを
顧客にあらかじめ明示されたマーケティング活動
例)ボルビック 1ℓ for 10ℓプログラム
Volvicの出荷量に応じてマリ共和国に清潔で安全な水が供給される仕組み
マーケティング1.0 | マーケティング2.0 | マーケティング3.0 | |
特 徴 |
製品中心の マーケティング |
消費者志向の マーケティング |
価値主導の マーケティング |
目 的 | 製品を販売すること |
消費者を満足させ つなぎとめること |
世界をよりよい 場所にすること |
可能にした力 | 産業革命 | 情報技術 |
ニューウェーブの技術 (SNSなど) |
主なマーケティング コンセプト |
製品開発 (4P) |
差別化 (STP) |
価値 |
消費者との交流 | 1対多の取引 | 1対1の関係 |
多対多の協働 (消費者同士) |
<参考>マーケティング4.0
1.0:「良い製品だ」と思って買ってもらえる段階
2.0:「この企業を愛しているので、この企業の製品を買う」段階
3.0:「この企業は社会貢献をしているので、この企業の製品を買う」段階
4.0:「この製品を通して自己実現できるので買う」段階
制定年/再認年 | 定義 |
1948/1960年 |
マーケティングとは、生産者から消費者に向けて、 製品・サービスの流れを方向付けるビジネス活動の実行である。
|
1985年 |
マーケティングとは、個人や組織の目標を達成する交換を創造するために アイデア・製品・サービスの概念形成、価値づけ、プロモーション、流通を 計画・実行するプロセスである。(4P) |
2004年 |
マーケティングとは、顧客に対して価値を創造、伝達、提供したり、 組織とその関係者に利益をもたらす方法で顧客との関係を管理したりする 組織的な働きと一連のプロセスである。 |
2007/2013年 |
マーケティングとは、顧客・依頼主・パートナー・そして社会全体にとって 価値あるものを創造・伝達・届け(流通)・交換するための 活動や仕組み(制度)・プロセスである。 |
おわりに
・マーケティングとは、「売るという問題」から生まれた経営上の重要な活動
・その核心は、市場とのコミュニケーションであり、そのためには
「消費者」「競争」「連携」「変化」に対応する必要がある
・そのやり取りの在り方も新たな価値づくり(顧客創造)をめぐって
消費者や他企業との協働・共創の要素が強くなってきている。