【独占(者)】monopoly:
密接な代替財のない製品の唯一の販売者(生産者)である企業。
価格設定者(プライスメーカー)
独占になる原因。参入障壁の源泉は下記の3つ。
natural monopoly:1つの企業が供給した方が、少ない費用で供給できることから生じる独占。
例)水の配給、送電
対象とされる生産量において規模の経済があるときに生じる。
完全競争企業
独占企業
合理的な人々は限界原理に基づいて考える
限界収入が限界費用よりも低ければ、企業は生産量を増やすこと利潤を増加させることができる。
独占企業も競争企業も利潤を最大化する生産量は、限界収入曲線と限界費用曲線の交点となる。
異なる点は、その交点が価格と等しいか低いかの差がある。
競争企業 : P = MR = MC
独占企業 : P > MR = MC
独占企業の生産量は、上記で示したように限界収入曲線と限界費用曲線の交点となる。
この生産量において、限界収入曲線は平均費用曲線の上にあり、需要曲線はさらに上にあるため独占利益を享受できる。
平均費用曲線 < 限界収入曲線 < 需要曲線
【総余剰】 :消費者余剰と生産者余剰の合計
【消費者余剰】:消費者の支払許容額から実際の支払額を差し引いたもの
【生産者余剰】:生産者が受取る金額から生産費用を差し引いたもの
競争市場では、見えざる手に導かれて総余剰が最大となった。
独占市場では、全体の経済厚生を最大化できない と考えられている。
もし博愛的統治者がいて総余剰を最大化しようとするなら、
競争企業と同様に需要曲線と限界費用曲線の交点の量を生産する。(効率的生産量)
それにより価格は限界費用と等しくなる。
※しろうとの経済学ブログ さんより
Q3が効率的生産量
Q0が独占的生産量
独占利潤そのものは経済のパイを縮小させているわけではなく、
単に生産者への配分が大きく、消費者への配分が小さいというだけ。
独占利潤は社会的問題ではない。
問題は、生産量が総余剰を最大化する水準に満たないために、
経済のパイが死荷重の分だけ縮小しているという非効率にある。
それでも売れることによる利潤は問題ではない。
【価格差別】:同じ商品を異なる顧客に異なる価格で売ること。
競争市場では不可能。市場支配力が必要。
<寓話>出版社の戦略
ある人気作家の新刊を熱狂的なファンにハードカバーで3000円で売り、
後にあまり熱心でない読者向けにペーパーバックで500円で売る。
価格差別の例
反トラスト法(独占禁止法)
取引のルールとして自由で束縛のない競争を保護することを目的とした経済的自由の包括的な憲章。
シャーマン法(1890年)、クレイトン法(1914年)などからなる一連の条文。
規制
政府は独占の問題を規制によって解決することもある。
水道や電力などの自然独占によくみられる。
限界費用に等しい価格をつけると2つの問題がある。
公的所有
独占への対処として第3の政策は公的所有である。
民間企業を規制するのではなく政府が独占企業を経営する。
しかし経済学者は通常、公的所有より私的所有の方がよいと考えている。
民間企業は利潤増大のために費用を最小化するインセンティブが働く。
何もしない
独占の問題に対する政策は、どれも欠点を持っている。
経済学者の中には何もしないことが最善と主張する人もいる。
「市場の失敗」よりも「政治の失敗」の方が多いという主張だ。
競争 | 独占 | |
類似点 | ||
企業の目的 | 利潤最大化 | 利潤最大化 |
利潤最大化のルール | MR=MC | MR=MC |
短期的に経済学上の利益を得るか | 得る | 得る |
相違点 | ||
企業数 | 多い | 1つ |
価格と限界収入 | P=MR | P>MR |
価格と限界費用 | P=MC | P>MC |
厚生を最大化するか | する | しない |
長期的な参入はあるか | ある | ない |
長期的な経済学上の利潤を得るか | 得ない | 得る |
価格差別は可能か | 不可 | 可能 |