市場における需要と供給の作用

市場と競争

【市場】:

特定の財・サービスを扱う売り手と買い手の集まり

【競争市場】competitive market:

多くの売り手と買い手が存在し、特定の売り手と買い手の影響を無視できる市場。

 

学習に適している完全競争市場は、次のような特徴がある。

  1. 販売されている財はすべて全く同じ。
  2. 競争市場なので売り手と買い手は市場で決まった価格を受け入れるしかない。(価格受容者)

 

需要

【需要法則】law of demand:

ある財の価格が上昇するときに需要が減少すること。(他の条件が一定であれば)

【需要表】demand schedule:

ある財の価格と需要の関係を表す表。

【需要曲線】demand curve:

需要表上の点を結んだ曲線。

 

 

 

需要曲線のシフト

 

【需要の増大】:

どの価格においても需要を増やすような変化。需要曲線を右側にシフトさせる。

【需要の減少】:

どの価格においても需要を減らすような変化。需要曲線を左側にシフトさせる。

 

 

<需要曲線をシフトする要因の例>

  1. 所得の変化
  2. 関連する財の価格の変化
  3. 嗜好の変化
  4. 期待(予測)
  5. 買い手の数

 

※需要を増減させる方法は2つ

  1. 需要曲線を右へ(増加)または左へ(減少)させる。
  2. 価格を増減させて需要曲線上で需要の動きをもたらす。

 

変数 この変数の変化がもたらすもの
財の価格 需要曲線上の動き
所得 需要曲線のシフト
関連する財の価格
嗜好の変化
期待(予測)
買い手の数

財の分類

【正常財】normal good:

所得の増加によって需要が増加する財。例)タクシー

【劣等財】inferior good:

所得の増加によって需要が減少する財。例)バス

【代替財】substitutes:

片方の財の価格が上昇すると、もう片方の財の需要が増大する関係にある財。

需要の動きが逆になる関係

例)アイスクリームとフローズンヨーグルト コーヒーと紅茶

【補完財】complements:

片方の財の価格が上昇すると、もう片方の財の需要が減少する関係にある財。

需要の動きが同じになる関係

例)ガソリンと自動車、PCとソフトウェア、アイスクリームとファッジ

 

 

供給

【供給量】quantity supplied:

売り手が売りたいと思い、かつ売ることができる財の量。

【供給法則】law of supply:

ある財の価格が上昇するときに供給が増加すること。(他の条件が一定であれば)

【供給表】supply schedule:

ある財の価格と供給量の関係を表す表。

【供給曲線】supply curve:

供給表上の点を結んだ曲線。

 

 

供給曲線のシフト

 

【供給の増大】

どの価格においても供給量を増やすような変化。供給曲線を右側にシフトさせる。

【供給の減少】

どの価格においても供給量を減らすような変化。供給曲線を左側にシフトさせる。

 

<供給曲線をシフトする要因の例>

投入価格、製造技術、期待(予測)、売り手の数

 

変数 この変数の変化による結果
財の価格 供給曲線上の動き 
投入価格 供給曲線のシフト
技術の進歩
期待
売り手の数

需要と供給を組み合わせる

◆均衡

【均衡】equilibrium:

需要量と供給量が等しくなる水準に価格が到達した状況

【均衡価格】equilibrium price:

需要量と供給量が釣り合っているときの価格。

【均衡取引量】equilibrium quantitiy:

均衡価格における需要量と供給量。

※富山大学経済学部唐渡先生の資料より

余剰と不足 需要と供給の法則

【余剰(超過供給)】excess supply:

供給量が需要量よりも多い状況。

価格の下降圧力となる。

 

※富山大学経済学部唐渡先生の資料より

 

売り手は売上を増やすために

価格を下げることで均衡水準に向かう。

【不足(超過需要)】excess demand:

需要量が供給量よりも多い状況。

価格の上昇圧力となる。

 

※富山大学経済学部唐渡先生の資料より

 

少ない財に多くの人が群がるので

売り手は品不足を利用して価格を引き上げることができる。

そして均衡に向かう。

 

【需要と供給の法則】law of supply and demand:

需要量と供給量が釣り合うように、その財の価格が調整されるという主張。

余剰や不足は一時的な現象に過ぎない。

 

 

 

需要と供給 まとめ

  需要 供給
曲線上の動き 価格 価格
需要量 供給量
曲線のシフト要因

所得

(正常財↑↑,↓↓、劣等財↑↓,↓↑)

投入価格

関連する財の価格

(補完財↑↑,↓↓、代替材↑↓,↓↑)

技術
嗜好

期待・予測

期待・予測

買い手の数 売り手の数

均衡の変化を分析する3段階のアプローチ

1.その第三の出来事がシフトさせるのは、需要曲線か、供給曲線か、両方か

2.曲線のシフト方向を判断する

3.需要と供給の図を描いて、新旧の均衡点を比較し、

  曲線のシフトが均衡価格と均衡取引量をどう変化させたかをみる

 

価格はどのようにして資源を配分するか

  • 価格は資源配分を導くシグナルとなる   ⇒プライステイカーだから
  • 価格が資源を配分するメカニズム     ⇒その価格を支払う意思の能力がある者が得る
  • 価格が財を誰がどれだけ生産するかを決定する ⇒農夫が十分な数になるよう、
                          食料価格や農夫の賃金が調整されている。