消費者・生産者・市場の効率性

【厚生経済学】Welfare Economics:

  資源配分が経済的福祉に与える影響を研究する分野

 

【支払許容額】Willingness to pay:

  買い手が財に対して支払ってもよいと思う最大額

 

【限界的な買い手】marginal buyer:

  価格がそれよりも高くなったら真っ先に市場から退出する買い手のこと

  需要曲線は、限界的な買い手の支払許容額

 

【限界的な売り手】marginal seller:

  価格がそれよりも低くなったら真っ先に市場から退出する売り手のこと

  供給曲線は、限界的な売り手の費用

 

 

1⃣ 消費者余剰

 

【消費者余剰】consumer surplus:

買い手の支払許容額 ― 購入価格

買い手が市場から得られる便益を測る尺度

価格よりも上で需要曲線よりも下の面積

 

 

価格の下落がどのように消費者余剰を増加させるか

価格がP1からP2に下落すると、

需要量はQ1からQ2へ増加し、

消費者余剰は三角形ADFの面積に拡大する。

 

消費者余剰の増加分(BCFDの面積)は、

すでに市場に参加していた消費者の支払額が減少する分(BCEDの面積)と

新たに市場に参加する消費者がで購入する部分(CEFの面積)からなる。

 

2⃣ 生産者余剰

【生産者余剰】producer surplus:

売り手の販売価格 ― 費用

売り手が市場から得られる便益を測る尺度

  価格よりも下で供給曲線よりも上の面積

 

【費用】Cost:

財を生産するために売り手が放棄しなければならないすべてのものの価値

売る意思をはかる尺度

 

 

価格の上昇はどのように生産者余剰を増加させるか

 

価格がP1からP2に上昇すると、

供給量はQ1からQ2へと増加し、

生産者余剰は三角形 ADF の面積に拡大する。

 

生産者余剰の増加分(BCFDの面積)は、

すでに市場に参加していた生産者受取額が

増加する部分(BCEDの面積)と

新たに市場に参加する生産者が販売する部分(CEFの面積)から生じる。

3⃣ 市場の効率性

 

【総余剰】:消費者余剰と生産者余剰の合計

      買い手にとっての価格-売り手の費用

 

【効率(性)】:総余剰が最大化するような資源配分

       (パイが最大の大きさになっているかが問題)

 

【公平(性)】:経済的繁栄が社会の構成員に均一的に享受されること

       (パイがどのように切り分けられ、配分されるかが問題)

 

市場均衡の評価

1.自由市場は、最も高い価値をつける  買い手に財の供給を分配する

2.自由市場は、最も低い費用で生産できる売り手に財の需要を分配する

3.自由市場は、消費者余剰と生産者余剰の合計を最大にするような財の量を生産する

 

市場均衡は、資源の効率的配分を達成している。

博愛的統治者は、市場の均衡をそのまま放っておけばよい。レッセフェール(自由放任)

 

4⃣ 結論:市場の効率性と市場の失敗

 

「完全市場では総便益が最大になるように導かれる」

という仮定が成り立たなくなるなる要素の重要な2つ

 

【市場支配力】:少数の売り手や買い手が、価格に影響を及ぼす能力のこと

【外部性】:考慮していない周囲への影響(副作用)

      外部性も含めた社会全体からみると非効率になる可能性

 

 

【市場の失敗】:市場支配力や外部性で市場の失敗が存在すると効率的に配分されない

        公共政策で対応する。