目標
①静脈経済とはどのような経済なのかが分かること
②代表的な排出者行動の特徴がどのようなものかが分かること
③代表的な排出者の目的とその目的を達成する方法が分かること
④代表的な処理者行動の特徴がどのようなものかが分かること
⑤代表的な処理者の目的とその目的を達成する方法が分かること
従来の見取り図に再生材市場
が加わった。
再生材市場は、動脈経済と静脈経済
の中間地点に存在し、双方の主体である
生産者・廃品市場・処理者から
再生材が集められる。
◆廃品(ゴミ)を排出して得られる満足「排出効用」
排出しないと不満足がたまる ⇒ ゴミ屋敷
ゴミを捨てる ⇒ お金を払う「排出支出」
(排出支出=廃品価格×排出量)
◆廃品を排出した結果、増減する満足「排出便益」
(排出便益=排出効用ー排出支出)
◆限界排出効用:廃品を排出する数を1つ増やしたときに増える効用の大きさ
<a>少ない数の時よりも多い数の時の方が、限界効用は小さい
<b>「排出効用=限界排出効用の合計」
限界効用は逓減するのでグラフは右下がり
効用は、限界効用の合計なので網掛け部分
◆限界排出支出:廃品を排出する数を1つ増やしたときに増える支出の大きさ
<a>廃品価格が変わらない場合、「限界排出支出=廃品価格」となる
<b>「排出支出=限界排出支出の合計」
水平のグラフ
限界支出 ✖ 排出量 = 支出
目的:排出便益をできるだけ大きくするように廃品を排出すること
(排出便益=排出効用ー排出支出)
達成方法:限界的な意思決定による廃品排出量の選択
(1) 限界排出効用 > 限界排出支出
排出量を1つ増やすとΔ支出よりもΔ効用の方が大きい
目的達成のために排出量を増加した方がよい
(2) 限界排出効用 < 限界排出支出
排出量を1つ増やすとΔ支出よりもΔ効用の方が小さい
目的達成のために排出量を減少させた方がよい
(3) 限界排出効用 = 限界排出支出
排出量を1つ増やしてもΔ支出とΔ効用は同じ
目的達成のために排出量を変更しない方がよい(利益最大の状態)
限界排出効用 = 限界排出支出
となるポイントが
排出便益が最大となる。
現実の処理者の特徴を捉えて
「代表的な処理者」モデルを作り
それを通して現実の処理者を観察する。
観察がうまくいかない場合は
モデルを改良を繰り返していく
◆廃品(ゴミ)を引き取って得られるお金「処理収入」
(処理収入=廃品価格×処理量)
◆廃品を引取・処理するために必要なお金「処理費用」
(処理費用=材料費+雇用費+設備費)
◆廃品を引取・処理した結果、増減するお金「処理利益」
(処理利益=処理収入ー処理費用)
◆限界処理収入:廃品を引取・処理する数を1つ増やしたときに増える収入の大きさ
<a>廃品価格が変わらない場合、「限界処理収入=廃品価格」となる
<b>「処理収入=限界処理収入の合計」
限界処理収入は一定なので水平のグラフ
処理費用は限界処理費用の合計なので網掛け部分
◆限界処理費用:廃品を引取・処理する数を1つ増やしたときに増える費用の大きさ
雇用費が逓増するためグラフは右上がり
処理費用は網掛け部分
目的:処理利益をできるだけ大きくするように廃品を引取・処理すること
(処理利益=処理収入ー処理費用)
達成方法:限界的な意思決定による廃品引取・処理量の選択
(1) 限界処理収入 > 限界処理費用
処理量を1つ増やすとΔ費用よりもΔ収入の方が大きい
目的達成のために処理量を増加した方がよい
(2) 限界処理収入 < 限界処理費用
処理量を1つ増やすとΔ費用よりもΔ収入の方が小さい
目的達成のために処理量を減少させた方がよい
(3) 限界排出効用 = 限界排出支出
処理量を1つ増やしてもΔ支出とΔ効用は同じ
目的達成のために処理量を変更しない方がよい(利益最大の状態)
(3)の限界排出効用 = 限界排出支出
となるポイントが利益最大となる。
まとめ
①代表的な処理者は、自分の利益を出来るだけ大きくする目的のために、
廃品の引取・処理をどのようにすれば良いのかを考えなければならない。
②代表的な処理者は、限界処理収入と限界処理費用が同じ大きさとなるように
廃品の引取・処理量を定めれば、利益を最大にすることができる。
目標
①代表的な廃品市場での売り手と買い手の反応が分かること
②代表的な廃品市場での価格の決まり方が分かること
現実の廃品市場の特徴を捉えて
「代表的な廃品市場」モデルを作り
それを通して現実の廃品市場を観察する。
観察がうまくいかない場合は
モデルを改良を繰り返していく
廃品需要曲線:廃品価格に対する処理者の反応
<a>廃品価格が上昇した場合
限界処理収入 > 限界処理費用
処理量を1つ増やすとΔ費用よりもΔ収入の方が大きい
目的達成のために処理量を増加した方がよい
<b>廃品価格が下落した場合
限界処理収入 < 限界処理費用
処理量を1つ増やすとΔ費用よりもΔ収入の方が小さい
目的達成のために処理量を減少させた方がよい
廃品供給曲線:廃品価格に対する排出者の反応
<a>廃品価格が上昇した場合
限界処理支出 > 限界処理効用
排出量を1つ増やすとΔ効用よりもΔ費用の方が大きい
目的達成のために排出量を減少させた方がよい
<b>廃品価格が下落した場合
限界排出支出 < 限界排出効用
排出量を1つ増やすとΔ効用よりもΔ費用の方が小さい
目的達成のために排出量を増加させた方がよい
①利益の決定
(1)廃品価格に対する買い手の利益「処理余剰」の決定
(2)廃品価格に対する売り手の利益「排出余剰」の決定
②価格の決定
(1) 廃品需要量 < 廃品供給量 ⇒ 廃品価格は下落
(2) 廃品需要量 > 廃品供給量 ⇒ 廃品価格は上昇
(3) 廃品需要量 = 廃品供給量 ⇒ 価格は変化なし(両者ハッピー)
まとめ
①代表的な廃品市場は、
排出便益の最大化を目的とする排出者の廃品供給曲線 と
処理利益の最大化を目的とする処理者の廃品需要曲線
によって表される。
②代表的な廃品市場では、
廃品需要量と廃品供給量が同じ大きさとなる状態の時に廃品価格が決定する。
同じ供給曲線でも製品供給曲線は右上がり、廃品供給曲線は右下がり
つまり消費するものは動脈経済でも静脈経済でも支出が生じる。
これを外部性とせず、内部化する必要がある。
廃品市場での処理価格も含めた製品市場での価格とするのか、
廃品市場の存在を強く意識できるようリテラシーを高めるのかなどの議論が必要である。