意思決定(decision making):
直面する問題に合わせて、複数ある選択肢から1つ(あるいは複数)を選ぶこと
<意思決定プロセス>
問題認識⇒情報探索⇒選択肢の評価⇒選択⇒購買後の評価
乗用車の意思決定の事例
属性 | 重要度 | 属性値 | 重要度×属性値 |
多属性効用 (総合評価) |
燃費 |
|
|||
安全性 | ||||
デザイン | ||||
走行性能 |
人の合理性には制約がある。
処理可能な 情報量、処理スピード は有限な能力
多属性効用理論は、合理的な方法ではあるが、実際に実行するのは難しい。
マジカルナンバー7±2
選択肢は多い方がいい? 情報処理できなくて意思決定できない。
<ジャム購買実験>
24種類のジャムを陳列⇒(60%)試食⇒(3%)購入
6種類のジャムを陳列⇒(40%)試食⇒(30%)購入
【ヒューリスティクス】:経験則をもとに情報処理を簡略化する方法
最善の結果を約束するものではないが
短時間で満足できる結果を手軽に導く手法
想起しやすさなどのバイアスが生じつ可能性もある。
属性1、属性2、属性3のチャートで属性空間を作り、
認知マップ(知覚マップ)を作り、
ブランドや製品のポジショニングを確認するツールとすることができる。
【内部探索】:自らの経験や学習により形成される記憶の中から関連情報を再生する
1.ブランドの再生
・典型性(カテゴリーを代表するブランドは再生されやすい。炭酸飲料:コカ・コーラ)
・ブランドの知名度(知名度が高いブランドは再生されやすい。)
・目的と使用状況(目的や使用状況がブランドを再生させる。ボーナス⇒HIS、UFJ)
・ブランドへの好み(好意的なブランドは再生されやすい)
・検索手がかり(強く結びついたロゴやタレントが手がかりになる)
2.属性の再生
・アクセスのしやすさ(思いつきやすい属性は再生されやすい。疲れないボールペン)
・属性の診断性(選択肢を識別するための属性の性質。液体の洗剤)
・顕著性(購買時に、どの消費者も考慮する傾向性。自動車保険:保険料、迅速な対応)
・鮮明性(イメージ化とコミュニケーションを助ける絵柄や言葉。パスポートサイズ)
・目的(目的により再生される属性は異なる。PC:駆動時間)
【外部探索】:自分以外のさまざまな情報源から情報を探索する。
例)醤油を買う。どのブランドを買うべきか?
探索方略 | 評価基準・選択基準 | ブランドの選択肢 |
拡張的問題解決 |
未定 | 未定 |
限定的問題解決 | 確定 | 未定 |
定型的問題解決 | 確定 | 確定 |
どれを選ぶか何も決まっていない状態は、拡張的問題解決。
減塩タイプがよいと思っている状態は、選択基準のみ決まっている。
ブランドまで決まっている状態は、定型的(ルーティン化)されている。
(M)動機づけ要因
購買への関与、リスク、費用と便益、探索への態度(好き嫌い)
(A)能力要因
製品カテゴリーに関する知識、情報の適合度(既存概念との一致不一致)
(O)処理機会要因
入手可能な情報量、情報提示フォーマット、時間的圧力
想起集合(内部探索)↘
情報探索────────────────────────➝考慮集合
対面集合(外部探索)↗
理論駆動型処理(トップダウン)
消費者の理論 ⇒ 解釈(意味づけ)
データ駆動型処理(ボトムアップ)
外部データ ⇒ 解釈(意味づけ)
外部データを組み合わせて解釈が行われる
[外部データ]⇒[感覚受容器]⇒[作業記憶]
<欠点>
・外部データを処理するのに処理負荷がかかる
・外部データの中には、信頼性に欠けるものもあるため選別が必要(主観が入る)
・貯蔵された知識が先導して、データ駆動型処理の限界を克服する
・対象についての理論(知識・概念・期待)
・理論により活性化された知識が探索を方向付け、その解釈に一致するように外部データを抽出する
[作業記憶]⇐[長期記憶]
「そこに何を見ればよいのかを知っていると、それは容易に見える」
特性的属性
客観的で物理的な
ブランドの特性
お味噌汁「塩分量」
明示的属性
物理的属性
実体的属性
客観的属性
定義的属性
工学的属性
便益的属性
便益の視点から
主観的に判断したもの
お味噌汁「塩っぽさ」
暗示的属性
効用的属性
機能的属性
道具的属性
シンボリック属性
シンボリックな意味を
ブランドに表象する属性
お味噌汁「おふくろの味」
実体のない
表象的属性
【中心的情報】:製品そのものについての情報
【周辺的情報】:製品そのものとは直接関係ない情報
例)広告のBGM、推奨者、権威ある雑誌に掲載、原産国
Gorn(1982)の実験
好きな音楽を聴きながら広告を見れば、その製品が好きになる。
嫌いな音楽を聴きながら広告を見れば、その製品が嫌いになる。
⇒音楽という周辺情報の影響を受ける
パブロフの犬を同じ。
選択することを意識づけると周辺情報の影響は小さくなり、中心情報で判断するようになる。
⇒低関与の状態にある消費者は、周辺情報に強い影響を受ける。
動機づけが高められた高関与の消費者は、中心情報を処理する。
【精度】:多属性効用理論と比較しての正確さ(模範解答)
【負荷】:精度を実現するための負荷(労力、時間)
精度を向上させたければ、多属性効用理論
負荷を軽減したければ、ヒューリスティクス
高負荷の 情報処理 |
中負荷の 情報処理 |
低負荷の 情報処理 |
|
処理の目標 |
最適化 |
満足化 |
単純化 (標準だから、いつもの) |
精度 | ベスト | 満足可能 | 満足可能 |
主に用いられる 意思決定ルール |
補償型ルール |
非補償型ルール 段階型ルール |
感情参照型ルール |
【補償型ルール】:ある属性で劣っていても他の優れた属性が埋め合わせをする
ということが可能な意思決定ルール
【非補償型ルール】:キーとなる属性で劣っている選択肢は、
いくら他の属性が優れていてもカバ^はできないという意思決定ルール。
【考慮集合】:
・消費者が真剣に考慮したブランド群
・思い浮かぶブランドの集合(想起集合)
・顧客が購入対象と考える製品の集合
<ユニバーサル集合> 考え得るすべてのブランド群
↓
< 知名集合 > 名前を知っているブランド群
↓
< 考慮集合 > 目的に適合するブランド群
↓
< 選択集合 > 購買直前のブランド群
購買 ⇒ 再評価 ⇒ 知識の更新
自己による再評価
他社による再評価
属性の重要度の更新
・購買前とのイメージの違い
・購買時に意識していなかった属性
友人からもらったドレッシングガウンが気に入り、それに合う家具・調度品を買い集めていく。
そのガウンがエレガントな雰囲気を周囲に強要していることに気づき、
かつての雑然とした部屋を懐かしむ。
属性の重要度の変化
スタイルの統一
購買後の不安感・不愉快感
ほんとうにこれでよかったのかな? あっちにすればよかったかなー?
認知的斉合性理論(一貫性理論)の一種
認知的斉合性理論の基本
➀人間には心理的に一貫する斉合性のある状態を維持しようとする基本的欲求がある
➁心理的に一貫しない状態が生じると心理的な緊張が生じる
➂その緊張を緩和するために心理的な状態を再構成する
【認知要素】:自分自身、自身の行動、環境などに関する知識・意見・信念など
認知要素間の関係
・互いに無関係
・互いに一貫する(協和関係)
・互いに一貫しない(不協和関係)
事例)学業と旅行
不協和の軽減
・購買の重要性を小さくする
・購買した製品の優れた点を探す
・購買しなかった製品の優れた点を隠す、劣った点を探す
(自分を納得させようとする)
不協和の回避
・選択的露出(Selective exposure)
不協和を生じさせる情報や状況をあらかじめ回避して
不協和に陥らないようにする傾向
(見たいものだけ見て自己防衛する)
・選択の正当化
選択内容を肯定的に後押しするような情報に接する
選択を否定するような情報を回避する
CS = Benefit/Cost
要はコスパ
CS = 顧客価値(Customer Value)
=(機能的便益+情緒的便益+自己表現的便益)÷
(金銭的費用+時間的費用+肉体的費用+心理的費用)
口コミと顧客満足は、結びつきが強い
購買意思決定プロセスのすべての工程で影響している
[問題認識]⇒[情報探索]⇒[選択肢の評価]⇒[選択]⇒[購買後の再評価]
口コミの影響力
・実際の使用経験に基づいている
・対面での双方向性
・商業的な意図を持っていない
・情報の信頼性
オピニオンリーダー
・ある特定の製品に関する豊富な知識を持つ
・マス媒体(電波媒体・印刷媒体)のヘビーユーザー
・新型モデルを積極的に購入
・性格は自信家で社交的
・製品関連情報を多く共有する
市場の達人(Market maven)
・数多くの製品に精通している
・市場全般の情報を所有している
準拠集団(Reference group)
・達成集団 憧れのあの選手みたいに!
・拒否集団 あの人たちとは一緒にされたくない!
購買意思決定プロセスのすべての工程で社会的相互作用が影響している
[問題認識]⇒[情報探索]⇒[選択肢の評価]⇒[選択]⇒[購買後の再評価]
ネットワーク規模が大きいほど、そのネットワークに参加することで得られる便益が高まること。
機能的な優劣よりも、そこにどれだけ多くの家族・友人がいるかが重要となる。
例)携帯キャリア選択、ゲーム機購入
イノベーションを採用する人の数は正規分布している。
採用者のタイプ | イノベーター | 初期採用者 | 初期多数派 | 後期多数派 | ラガード |
平均からの距離 | -3σ | -2σ | -1σ | +1σ | +2σ |
割合 | 2.5% | 13.5% | 34% | 34% | 16% |
性格 |
冒険家 イノベーター 同士の交流 |
オピニオン リーダー |
慎重派 | 懐疑派 |
保守派 伝統的価値重視 |
消費者は、周囲に同調しようとする傾向と、周囲に差異化しようという傾向を持っている。
バンドワゴン効果
同じアイデアや製品を用いる人が多いほど、その魅力が高まり、
他者と同じものを望むという同化の傾向が見られる現象。
スノッブ効果
同じアイデアや製品を用いる人が増えてしまうと、その魅力が減じられ、
他者と異なるものを望むという差異化の傾向が見られる現象。