ブランド選択の際に重要なのは、特性情報だけではない
↓
選択対象が、自らのニーズをどの程度満たしそうかについて、主観的解釈の属性情報もある
↓
解釈プロセスに注目すべき
消費者の理論 (理論駆動型処理トップダウン)
↓
解釈(意味づけ)
↑
外部データ
内部情報探索 記憶ベースの意思決定 (問題認識、想起集合) 再生
外部情報探索 刺激ベースの意思決定 (問題認識、考慮集合、態度形成) 再認
提案価値の決定
↑
[Research]⇒[STP]⇒[Marketing Mix]⇒[Implementation]⇒[Control]
↓
価値伝達情報の決定
【プッシュ戦略】:目立つ場所での陳列、WEBサイトやカタログでの掲載位置、
値引き、販売員の推奨といった刺激で売る戦略
・割引、リベート
・流通業者の系列化
・刺激ベース意思決定
・陳列位置
例)松下電器 パナソニックのお店
【プル戦略】:消費者がブランドに対して持つ好ましい態度によって
消費者から指名購買されるように販売される状態を目指すマーケティング戦略
・記憶ベース意思決定
・好意的態度
・指名購買
例)Sonyブランド
分析視点
<情報処理サイクルとマーケティング>
消費者が市場提供物の特徴を多次元的に把握し、関連付け、その知識に基づいて代替案の評価を行う心理的空間。
例)デジカメ 本格的⇔コンパクト 画質が良い⇔そこそこ
どのセグメントのどのあたりのポジションか?
【セグメント】:類似したニーズを共有する消費者グループ
【マーケットセグメンテーション】:
異質な消費者をできるだけ同質的なグループにまとめあげ、
マーケティング活動を適合させ価値提案していくこと
セグメントの有効性は、消費者の理想の散らばりと競合ブランドの位置によって決まる
【ポジショニング】:自社の市場提供物の独自の価値を決め、
消費者の知覚空間におけるユニークな位置を獲得しようと設計すること
【差別化】:標的とする消費者に対して、自社の市場提供物を
他社のものとは異なるものと認識させようとすること
1.ブランド化との関係
ブランド化は、有効なSTP戦略や差別化が基礎となり達成される。
(ブランド化とは、競合と異なっていると認識して選択対象になっている状態)
2.知覚空間と消費者知識の関係
消費者の知覚空間は、情報処理の結果として構築される。
いつも外部から情報を取得する「データ駆動型処理」ではない。
知識をベースとした「理論駆動型処理」であることもある。
3.セグメンテーションの基準
セグメンテーションは、マーケティングの諸手段に対する反応が類似している消費者をグループ化しているが様々な基準でセグメント化される。
・消費者の理想
・ベネフィットセグメンテーション(市場提供物の便益を基準)
・接触する情報源の違い
4.知覚空間形成と意思決定ルール
意思決定ルールの多様性に応じて、消費者に訴求すべき価値内容や価値の数が変わり得る
意思決定ルール(補償型、非補償型)
属性タイプ(シンボリック属性、特性的属性)
ニーズとウォンツ
【ニーズ】:基本的な欲求に基づく要件を指す概念。食料、衣服、娯楽、教育などが含まれる
【ウォンツ】:ニーズを満たすモノや行動
ニーズを作り出すことはできない。それを顕在化させウォンツへの変換させること。
知覚空間を構成する属性は、ニーズでも特性でもない。ウォンツを構成する一要素である。
高関与
・ブランドに対する重要度が高い
・購買に対して多くの努力を注ぐ
・積極的な情報探索
・属性や便益を熱心に解釈する
低知識
当該ブランドが自分のニーズを充足するかの判断は難しい
選択基準が未確定・曖昧である
高知識
自分のニーズに照らして、多次元的に評価できる
既存知識の利用もできる
高関与 | |||
低 知 識 |
自律的な知覚空間の 形成が困難 (選択基準が不明確) 補償型ルール |
複数の便益的属性 シンボリック属性 補償型ルール |
高 知 識 |
少数の特性的属性 (価格) 非補償型ルール 感情参照型ルール |
少数の便益的属性 非補償型ルール 感情参照型ルール |
||
低関与 |
特性1)提供し得る情報量
企業はコンタクトポイントの選択を通じて、提供する情報量の決定をしている
特性2)双方向性・個別性
双方向性:販売員などとの情報密度の濃いやり取りが可能か
個別性:個人の事情に合わせた情報提供が可能か
特性3)情報接触の容易性
企業は消費者の努力量に合わせて、情報接触の容易性を決定している
「インターネット」「店頭配下率」「店頭陳列」
多くの情報を提供できるコンタクトポイントを配置する必要がある。
利便性を意識したコンタクトポイントを配置する必要がある。
現物を手に取って確認することができない。 ので
・サイトを訪れる前に購買対象を決めることができる消費者 か
・購買対象は決まっていないが、製品知識を持っている消費者 が利用する
インターネット販売のメリット
・小規模セグメントを幅広く対象にできる
・無在庫
消費者のタイプに応じてサイトのタイプを選択する必要がある。
サイトの特徴 | 消費者のタイプ |
一方的な情報提供のサイト |
高関与 高知識 |
個人の閲覧履歴などにより好みを把握し、 掲載情報を消費者毎に変化させるサイト |
高関与 低~中知識 |
双方向性・個別性を備えるサイト |
低知識 |
企業側の要因
・差別化シーズの頭打ち(種)
・モジュール化の進展(部品間インターフェースの標準化)
需要側の要因
・消費者ニーズの頭打ち
・製品機能が消費者の要求水準を超える
⇒コモディティ化の進行
コモディティ
差異化不可能
↓
単純な価格行動
消費者の反応
ブランド
差異化可能
↓
複雑な認知心理
消費者の反応
脱コモディティ化の方向性
【機能的価値】:
ブランドの物理的な特性に由来する機能的属性から基本的な価値
客観的な基準で評価できる(燃費、エンジン性能など)
【感性的価値】:
ブランドの五感に関わる属性。
ブランド化によって付与される属性(ロゴ、シンボル、イメージ)から得られる価値。
自己表現的な価値も含む。客観的な基準で評価しにくい。
~1985年 手段としてのブランド |
1986~95年 結果としてのブランド |
1996年~ 起点としてのブランド |
|
主たる ブランド概念 |
ブランドロイヤルティ ブランドイメージ |
ブランドエクイティ | ブランドアイデンティティ |
ブランド 認識 |
断片的認識 マーケティングの手段 |
統合的認識 マーケティングの結果 |
統合的認識 マーケティングの起点 |
【ブランドエクイティ】:
ブランドから連想されるプラスの要素とマイナスの要素の総和。
(ブランド連想+知覚品質+ブランド認知+ブランドロイヤルティ)
【ブランドアイデンティティ】:
企業が当該ブランドをどのように知覚されたいか
ブランドの目標・理想像
自分たちのブランドとは何か(起点としてのブランド)
顧客ベースのブランドエクイティ
(Customer Based Brand Equity:CBBE)
ブランドのマーケティング活動への消費者の反応に対して、ブランド知識が及ぼす最適な効果
ブランド資産は顧客の記憶の中に蓄積されている
強く、好ましく、ユニークであれ!
ブランド認知のメリット
1.学習におけるメリット
ブランド認知を確立していれば、次なるブランド連想の形成に影響を与える
例)ビールのコクとキレ⇒味覚を変化させられる
2.考慮におけるメリット
考慮集合の段階で、他ブランドを考慮の対象から外すことが可能になる
3.選択におけるメリット
優先的に考慮集合に入ることができれば、他ブランドよりも選択の可能性が高まる
【ブランド認知】:消費者が当該ブランドを識別できる能力
【ブランド再生】:ブランドを記憶内から検索できる能力
【ブランド再認】:ブランドを与えられたときそのブランドを識別できる能力
【ブランドイメージ】:質的なブランドの把握(何をどのように知っている)
◆ブランド連想のタイプ
「属性」「便益」「態度」
◆ブランド連想の内容
連想の好ましさ :「価値構造」に依存
連想の強さ :「知識構造」に依存
連想のユニークさ:「競争構造」に依存
【ブランドレゾナンス】:ブランドと消費者の関係の質を捉えた概念。
行動上のロイヤルティ⇒心理的な愛着⇒エンゲージメント と進展する
➀消費者のカテゴリー知識
消費者に参照してほしいカテゴリー知識を定める
➁カテゴリーとの同化ポイント
ポジショニングを決めてもその土俵に乗れるかは保障されない。
➂差別化ポイント
当該ブランドのみが有するユニークな連想のこと。
知 ⇒ 情 ⇒ 為
└—————————┘
認知 ⇒ 態度 ⇒ 行動
└——————————————┘
認知が変われば、態度が変わる
態度が変われば、行動が変わる
行動が変われば、認知が変わる