管理会計論 → 原価計算

原価計算の目的

5種類の目的がある。

目的 内容
財務諸表作成 製造原価を損益計算書に計上し、棚卸資産を貸借対照表に計上する。販管費も
価格算定 製品やサービスの売価の参考にする。マークアップ方式や市場競争で価格が決まる。
原価管理

コストダウンを目的として、標準原価を用い能率改善を目指す。

管理範囲と権限と責任が一致していることが前提。

予算統制 利益計画を実現するために必要な原価情報を提供する。
経営計画 経営計画策定にあたり必要な原価情報を提供する(財務管理、投資計画) 

個別原価計算と総合原価計算

【個別原価計算】

受注生産、1品生産、注文によって仕様が異なる、等の業種に適する。
製造指示書ごとに原価が計算される。

例)造船業、重電気工業、建設業、特殊機械

 

【総合原価計算】

見込生産、同じ仕様で同一製品が反復生産される業種に適する。
一定期間に投入された原価を生産量で割れば単位当たりの原価が得られる。
例)自動車、電気機器、製鋼、製粉、製糖、セメント製造業

 

原価の分類

分類基準 原価要素
形態別   

材料費

原料費、購入部品、燃料、消耗品費、消耗工具など

労務費

給料、賞与、退職金引当金、福利費など

経費

減価償却費、賃借料、修繕費、電気代、交通費など

販売費および一般管理費

販売活動や管理活動で発生する原価

製品との

関連 

直接費

直接材料費、直接労務費、直接経費

間接費

間接材料費、間接労務費、間接経費

操業度 

変動費

操業度に比例して変化(純変動費もある)

固定費

操業度が変化しても一定(純固定費、ステップコストもある)

意思決定のための原価概念

No. 分類

関連原価

増分原価、差額原価(意思決定時に考慮すべき原価)

無関連原価

埋没原価sunkcost(意思決定時に無視してよい原価)

機会原価

選択しなかった行動案のうち、最善案の価値。

(その行動案を選択することで失う利益)

管理可能費

管理者のポジションや意思決定権の程度で変わる。

製造部長は製造部門すべてが管理可能費。

管理不能費

機械設備の購入に発言権のない係長は、減価償却費は管理不能。

末端の従業員はすべてが管理不可能費。

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回避可能費

(Managed Cost)

短期的な意思決定で予算化するもの。(Policy Cost、自由裁量固定費)

広告費、交際費

回避不能原価

(Committed Cost)

一旦意思決定するとその後長期的に発生する原価 

購入したものの減価償却費、固定資産税、火災保険料

原価管理

原価管理は、組織横断的なPJチームによって、原価が発生する源流に遡って原価を絞り込み、目標原価を達成する取り組み。

 

原価維持<原価改善<原価企画 のレベルに分類できる。

 

【原価維持】:標準作業時間を設定、差別出来高制度、例外による管理、標準と実際の差異分析、
【原価改善】:学習効果によって改善していく、小集団活動、QCサークル、
【原価企画】:商品企画の段階で目標原価を設定し、それに向けて設計していく。