在庫管理の基本原則:最低の在庫費用で適切な在庫量を維持する。
全部原価計算の利益は、生産量によって変化し、
直接原価計算の利益は、販売量によって変化する。
財務諸表は全部原価計算。 直接原価計算は管理会計目的。
在庫管理の対象は、棚卸資産(inventories)。
商業なら商品。製造業なら製品、半製品、仕掛品、貯蔵品、原材料など。
大分して2つ。広義の在庫費用には発注費用も含まれる。
【発注費用】:在庫調査、注文書の作成、電話代など。生産の場合は段取費用。
【在庫費用】:狭義の在庫費用。3種類の費用からなる。
在庫モデルは、二つのタイプに分類される。
将来の需要が確定している「確実性のもとでの在庫モデル」と
確定していない「不確実性のもとでの在庫モデル」。
ここでは前者を取り上げる。
<在庫モデルの前提>
問題を単純化するために下記のような前提を用いる。
年間発注回数(N) = 年間需要量(D) / 1回の発注量(Q)
年間発注費用(Co) = 年間発注回数(N) × 段取費用(v)
平均在庫量 = 1回の発注量(Q) / 2
年間在庫維持費用(Ch) = 平均在庫量 × 1単位の年間在庫維持費用(h)
在庫総費用を最小にするには ⇒ 経済的発注量を求める
経済的発注量(Economic Ordering Quantity:EOQ)
経済的発注量のもとでは、発注費用と在庫維持費用が等しくなる。
逆に言うと、発注費用と在庫維持費用が等しくなる点が経済的発注量となる。
経済的発注量は、製造業においては最適ロット量に相当する。
1回あたりの発注費用の代わりに「段取費用(ロット固定費)」と
「在庫維持費用」を最小にする点が最適ロット量となる。
【EOQモデルの問題点と実際】
現実にはありえない条件が前提となっているため、EOQモデルがそのまま採用されることはないが、
EOQモデルが在庫管理の基本的な問題点を浮き彫りにしていることは間違いない。
ABC分析でA品目についてはEOQモデルで重点管理するなどの方針で行われる。