管理会計論 → 経営分析

経営分析の主体者・利用者と目的

【内部分析】:従業員によって経営者の意思決定のために

       生産性の測定、成長性の予測

 

【外部分析】:主として公開された財務諸表を分析する。

  • 銀行・・・支払能力、流動性、信用分析
  • 債権者/仕入先・・・支払能力、流動性、信用分析
  • 投資家/株主・・・収益性分析(経済付加価:EVA、株式時価総額)
  • 証券アナリスト・・・収益性分析
  • ライバル企業・・・動向チェック

 

分析方法の分類

分析方法は、次のような分類がある。

  • 静態分析と動態分析
  • 比率分析と比較分析

【静態分析】:一時点の企業の財政状況を分析すること。貸借対照表を中心に分析

【動態分析】:一定期間の企業活動を分析すること。損益計算書を中心に分析

 

【比率分析】:流動性分析や収益性分析など、財務諸表内の比率によって計算できるもの

【比較分析】:期間比較、企業間比較など

 

 

経営分析の方法

収益性分析

収益性は、資本利益率、投資利益率、ROIなどと呼ばれる。次のように表せる。

 

 [資本利益率] = [売上高利益率] × [資本回転率]

 

   

売上高利益率と資本回転率は、次のように表せる。

 

 [資本利益率] = 利益 / 資本

 

 [売上高利益率] = 利益 / 売上高

 

分子となる利益をどのレベルの利益を用いるかで様々な比率となる。利益のレベルには5段階のレベルがあることを確認しておこう。

 


 [資本回転率] = 売上高 / 資本

 

資本回転率は、年間の平均使用資本額おと売上高の比率。次のような区分もある。

 

 売上債権回転率 = 売上高 / 平均売上債権

 

 棚卸資産回転率 = 売上高 / 平均棚卸資産

 

 固定資産回転率 = 売上高 / 固定資産(当期平均)

 

 

流動性分析

短期債務の支払い手段としてどれだけの流動資産を持っているかの分析。

 [流動比率] = 流動資産 / 流動負債   大きい方がよく、150~200%が健全

 

流動資産のうち換金性に低い棚卸資産を除いた当座資産で分析する方法もある。

 [当座比率] = 当座資産 / 流動負債   大きい方がよく、100%~が健全

 

経営学総論Ⅱの安全性分析にわかりやすい図表あり。参照されたし。


固定資産は支払期限がすぐ到来するような流動負債ではなく、返済する必要のない自己資本でまかなうべきである。また自己資本を流動資産に使用するのは健全な姿ではない。

 

流動負債 は 流動資産 で

固定資産 は 自己資本 で    が基本。

 

そこで固定比率も財政状況を判断するのに重要となる。

 [固定比率] = 固定資産 / 自己資本   小さい方がよく、100%以下が健全

 

他人資本のうち、固定負債はすぐに返済する必要がないので自己資本と同等にみなせる。そこで自己資本に固定負債を加えた長期資本固定比率(または長期固定適合率)という指標もある。

 [長期資本固定比率] = 固定資産 /(自己資本 + 固定負債) 

  小さい方がよく、製造業平均で80%

 

とは言え他人資本は負債である。他人資本に依存しすぎるのは財政面から好ましくはない。そこで資本構成を表す指標がある。

 

 [負債比率] = 負債 / 資本

 

 [自己資本比率] = 自己資本 / 総資本

 

その他の比率

どれだけ配当に回しているか

 [配当性向] = 配当金 / 税引後利益

 

税引後利益が小さければ配当性向は高くなってしまう。そこで1株当たりでみる方法がある。

 [1株当たりの配当金] = 配当総額 / 株式総数

 

配当金の利回り

 [利回り] = 1株当たりの配当金 / 株価

 

株価が割安か割高かを見る指標

 [1株当たり利益(Earning Per Share;EPS)] = 当期純利益 / 株式総数

 

 [株価収益率(Price Earnings Ratio;PER)]= 株価 / EPS

  15倍が基準 高いと割高、低いと割安、成長率によって妥当な倍率は変わる。

 

経営学総論Ⅱのアカウンティングも参照されたし。