平均値との比較のみでなく、優良企業との比較も重要。
業界トップや世界最良のものと比較することで、そのギャップを理解し根本的に解決するための経営手法。自社だけでは思いつかない良い手法が学べる、自社のSWOT分析につながる。
付加価値 = 売上高 ― 前給付価値
集計法 ※減価償却費を含む場合を「粗付加価値」、含まない場合を「純付加価値」
・日経NEEDS すべて足す
[営業利益][人件費][賃借料][租税公課][支払特許料][減価償却費]
控除法
・日本生産性本部
[売上高]-{[原材料費][支払経費][減価償却費]}+[期首棚卸高]―[期末棚卸高]+[付加価値調整額]
付加価値は、原価(変動費)を除いた固定費+利益(限界利益)
付加価値生産性 = 付加価値/従業員数
従業員1人あたりの生産性を前給付価値を除いた形で見ることができる。
変動費が大きい業種では、売上高で計算すると大きな数字となる。
1人あたりの限界利益と近い意味。
※次のように分解できる
=(付加価値/売上高)×(売上高/従業員数)
付加価値率 1人あたり売上高
=(有形固定資産/従業員数)×(付加価値/有形固定資産)
労働装備率 設備生産性
付加価値率 = 付加価値/売上高
売上高のうち、その企業が生み出した価値の割合。
生産の奥行 加工度 が表れる。
記述集約度が高い場合、独自性のある製品などは付加価値率が高い。
付加価値率で、外注依存型か技術集約型かなど企業の特質が明らかになる。
労働分配率 = 人件費/付加価値
付加価値に占める人件費の割合。給与水準が適正かを診る指標。
人件費 :[製造原価の労務費][販管費の人件費][福利厚生費][役員報酬]
付加価値:[営業利益][人件費][賃借料][租税公課][支払特許料][減価償却費]
生産性分析の指標。
経常利益と反比例する。
低労働分配率 ⇒ 低給与水準 ⇒ 労働環境不良 ⇒ モラル低下
高労働分配率 ⇒ 利益確保不可 ⇒ 経営維持が困難
給与水準と社員のモラルは比例する傾向にある。
業界平均や同業他社と比較して判断することが重要。
日本企業の労働分配率は、企業種平均で50%強。
製造業平均では60%弱、サービス業など労働集約型の業種は労働分配率が高い。
高収益⇒低労働分配率 低収益⇒高労働分配率
大企業⇒低労働分配率 小企業⇒高労働分配率
・付加価値は変動が大きいが、人件費は固定費の要素が高いため、労働分配率は変動幅が大きい。
ストック項目
伸び率 =(比較年度純資産/基準年度純資産 - 1)×100
伸び率 =(比較年度総資産/基準年度総資産 - 1)×100
フロー項目
伸び率 =(比較年度売上高/基準年度売上高 - 1)×100
伸び率 =(比較年度営業利益/基準年度営業利益 - 1)×100
・連結子会社の純資産の内、親会社に帰属しない持分。
・総資産の10%以下であることが多い
・親会社の連結B/Sに非支配株主持分があるということは、
⇒議決権の100%を持っていない子会社があるということ。
・自己資本か?
外部株主であって自己資本できない ⇒決算短信は自己資本比率の分子に含めない
借入金と異なり利払いがないので財務的に安全 ⇒自己資本比率の分子に含めてよい
・ROE(当期純利益/自己資本)も決算短信は、非支配株主持分を自己資本に含めない
・100%の資金がなくても非支配株主持分の分だけ、レバレッジを効かせているという捉え方もある。
会計上の収益・費用と税務上の益金・損金とで、
認識するタイミングや額が異なるため生じる一時差異。
繰延税金資産
・税金の前払いを計上する税効果会計の勘定科目
・発生した一時差異も、事象が現実化すれば、いずれ税務会計上も損金として認められる。
・その際は課税所得が減算され、会計上は経費が出ていないのに税務上の損金が出て
税金が少なくてすむ。
・将来黒字が出ることが前提となるが、前提が成立しない(回収可能性がない)場合は、
繰延税金資産を取り崩さなければならない。
繰延税金負債:
・税効果会計で使用する勘定科目
・税金の未払い分(実質的には、法人税の未払分)
・税引前利益が課税所得よりも大きい場合、将来加算される税金に備える引当金に相当するもの。
加算税金が実現したら繰越税金負債を取り崩して納付する。
・将来の税金が高くなる要因となるため、繰延税金負債(負債勘定)を使用する。
・有価証券や土地の評価益、未実現損失、固定資産買換圧縮記帳積立金、子会社の資産再評価
有利子負債 EBITDA
= (借入金 − 現金預金)/(営業利益 + 減価償却費)
すぐに返済できない借入金がEBITDAの何年分あるかを表す。
借入金の返済能力を示す安全性指標の1つ。
5倍以下が望ましい。
EBITDA(Earnings Before Interest Taxes Depreciation and Amortization)
=(営業利益 + 減価償却費)
国による金利・税法・会計基準の違いを取り除いた業績評価の指標。
営業キャッシュフローに近い意味。本業で稼ぐ力を表した指標。
連単倍率 = 連結 ÷ 単独 (何の数値でもよい)
企業集団が親会社に対してどれほどの規模であるかを示す比率。
企業集団と親会社の規模の関係がわかる。
[売上高][従業員数][総資産][利益]などについて比較される。
[利益]だけは赤字があり得るので、連単倍率が1を下回ることがある。
売上高連単倍率
企業集団の多角化の度合いを示す。
親子間取引が多い(垂直統合) 場合、連単倍率は低くなる。(相殺される)
親子間取引が少ない(水平分業)場合、連単倍率は高くなる。
従業員連単倍率 (相殺されない)
1を超えた部分は子会社の従業員数。1に近ければ子会社の規模は小さい。
売上と異なり相殺されないので、売上高連単倍率より従業員連単倍率の方が大きくなる。
売上高連単倍率が従業員連単倍率より大幅に小さければ親子間取引が多く垂直統合。
売上高連単倍率と従業員連単倍率の差が小さければ、親子間取引が少なく水平分業。
利益連単倍率
規模ではなく、子会社の収益力を示す。
連結・単独いずれか、または両方が赤字の場合は利益連単倍率は意味がない。
リース取引
├─オペレーティングリース
└─ファイナンスリース
├─所有権移転ファイナンスリース
└─所有権移転外ファイナンスリース
ファイナンスリースは、ローンをして購入したのと実態はほぼ同じであるのに対し、
オペレーティングリースは、ただ借りているだけのレンタルに近い。
ファイナンスリース | オペレーティングリース | |
解約 | 解約不能 | 可能 |
リース料総額 |
購入価格の概ね90%以上 (フルペイアウト) |
購入価格より安い |
リース期間 | 耐用年数の概ね75%以上 | 柔軟に設定可能 |
貸借対照表 |
リース資産、リース債務 を計上(オンバランス) |
計上しない(費用) (オフバランス) |
流 動 比 率 = 流動資産 ÷ 流動負債
固定長期適合率 = 固定資産 ÷(固定負債+純資産)
流動資産 + 固定資産 =貸借対照表の借方全体(繰延資産なし)
固定資産 +(固定負債+純資産)=貸借対象表の貸方全体
この性質から流動比率か固定長期適合率の一方が100%を下回るなら
他方が100%を上回ることになる。でなければ貸借一致しているとは言えない。
流動比率:1.2 、固定長期適合率:0.6 で流動負債が100億円のとき、固定資産はいくらか
流動負債:流動資産 =1.2:1.0 ・・・(A)
固定資産:(固定資産+純資産)=0.6:1.0 ・・・(B)
流動負債と流動資産の比の差は、0.2である。
(A)より 流動負債100億円 × 1.2 = 流動資産120億円
流動負債と流動資産の金額差は、20億円。
当該企業のB/Sの性質より、(A)の比の差0.2と(B)の比の差0.4とは金額ベースで等しい。
このことから(B)の比の差は、金額で20億円
(固定資産+純資産) = 20億円 ÷ 0.4 = 50億円
∴固定資産 = 50億円 × 0.6 =30億円
自己株式の | 消却 | 処分 |
概要 |
買い戻した自己株式を消滅させること |
買い戻した自己株式を売却すること 新株発行をする代わりに自己株式 ・第三者割当 ・既存株主への売却 ・企業再編時に代用交付 |
目的 |
・発行済株式総数の適正化 ・企業買収を防衛する ・既存株主へのPR |
・資金調達のため ・企業再編を迅速に行う |
発行済株式総数 |
貸借対照表から消えるので減少する |
変化なし |
株価への影響 |
株価が上昇する要因となる |
株価が下落する要因となる |
手続き |
取締役会の決議のみ |
会社法の新株発行に準じた手続が必要 |
資金調達・債券の発行・投資家への利益分配など、
限定された目的のためだけに設立される会社のこと。
SPCの主な役割
◆資産の流動化
不動産や債券などの資産を主体企業からSPCに譲渡し、
投資家から資金を募って、利益を投資家に還元するスキーム。
その手段として資産の証券化を行う。
◆LBOによるM&Aの器
資金調達の受け皿となり、買収を実行し、最後は対象企業と合併させる
これによってSPCの債務は対象企業が保有することになり、
買い手である主体企業は債務を抱えることがない。
SPCを導入するメリット
◆SPCに資産を譲渡する側はオフバランス化ができる。
(自己資本比率の維持)(出資する側は連結内となる)
◆主体企業・SPC共に資産の保持ができる
主体企業が倒産しても、SPCに影響は出ない
SPCの資金調達はノンリコースローンであり、返済はその事業の収益からに限定され
主体企業に債務が発生しない。
・少ない資本でM&Aを行うことができる(LBO)
SPCを導入するデメリット
利害関係者が多岐にわたり、手数料がかさむ。
信託銀行、債権回収会社(サービサー)、会計士、弁護士、鑑定会社、建築事務所
流動比率 = 流動資産 ÷ 流動負債
現金預金 買掛金
売掛金 短期借入金
受取手形 未払法人税等
有価証券 預り金
商品 賞与引当金
繰延税金資産
短期的な支払い能力・安全性・信用力を分析する経営指標。
1年以内に支払う負債は、1年以内に現金化できる資産で賄うべき、という考えに基づく。
1年以内に現金化できる流動資産は半分だと仮定すると、
流動資産は流動負債の2倍あればよいことになる。(流動比率200%)
類似した指標で分子から換金性の低い棚卸資産を除いた当座比率もある。
手元流動性比率(月) =(現金預金+有価証券)÷(売上高/12)
短期的な支払い能力・安全性・信用力を分析する経営指標。は同じ。
1ヶ月の売上代金を回収できるまで、手元の資金で賄えるかを表しています。
特徴は、分子に売掛金や棚卸資産など換金性が低い可能性があるものが含まれていない。
したがって、流動比率や当座比率より厳密に短期の支払能力を分析できる。
この比率が大きいと資金繰りは安定するが資金効率は下がるため、
消極的な経営と捉えられることがある。
買収対象の簿外資産を見込んで純資産より高い金額で買収した場合にのれんが発生する。
一方で、純資産より低い金額で買収するケースもあり、その際に負ののれんが発生する。
簿外債務がある場合や買収後に会社の価値を毀損するリスクがある場合は、
その分だけ純資産から差し引いて買収する。
負ののれんが発生する原因
のれん の計算式
のれん = 買収価格 - (取得持分比率 × 修正純資産額)
※この計算結果がマイナスになる場合を「負ののれん」という
財務資料の情報と定性的要因をどのように結び付けて総合的に評価するか?
<数値化>
財務資料から得られる指標はすべて数値であるが、定性的要因から得られる指標も数値化されている必要がある。
<標準化>
数学的処理に耐えるように数値を平均値0、分散1となるように標準化する。
標準化した数値をさらにわかりやすくする方法の一例として、偏差値に変換する方法がある。
標準化した数値に10を乗じて50を足せばよい。
<大きい方が良い指標に揃える>
指標には大きい方が良いものと小さい方が良いものがあるが、どちらかに統一しなくては合計することができない。標準化した数値のうち、小さい方が良いものに-1を乗じて、すべての指標を大きい方がよいものにしておく。
<重み付け>
各指標の重要度は均等ではないため、指標の重み付けをする必要がある。
手法としては、有識者数名に指標の重要度の評価をしてもらいウェイト付けする方法や
指標同士の相関係数を総当りで計算し、指標ごとに相関係数の絶対値を合計した得点の割合によって決める方法が考えられる。
<合算>
足し算する合計がいいのか、算術平均・幾何平均などの平均がいいのかをデータの種類によって決める。
<問題点発見モデル>
【ウォールの指数法】
a. 7つの比率にウエイトを付ける
b. 基準値(または平均値)の比率を用意
c. 調査対象の比率を用意
d. 調査対象の比率/基準値の比率 を算出
e. a×b で指数を算出 ⇒100を超えるか下回るかで総合評価する
下記は例
比率 | ウエイトa | 基準値b | 比較対象の比率c | 調整比率d(c/d) | 指数e(a×d) |
流動比率 |
35% |
200% | 220% | 110% |
38.5 |
自己資本/固定資産 | 25% | 250% | 220% | 88% | 22 |
自己資本/負債 | 40% | 150% | 160% | 106% | 42.4 |
指数 | 100 | 102.9 | |||
平均対比 |
2.9 |
<良い会社・悪い会社>
【日経NICES】
4つの側面(投資家、消費者、従業員、潜在力)の19個の指標で評価。
指標のウエイトは、日経の編集委員58名が決定。
指標ごとにウエイト付けした4側面を最大200点、最低20点になるよう標準化し総合評価する。
あらかじめ決めた金額で株式を購入できる権利。(新株や自社株式が交付される)
転換社債(CB)の転換権部分、新株引受権(ワラント)、ストックオプションなどの総称。
株主に帰属するものではなく、株主資本ではない。
新株予約権は、発行時の払込金額を純資産の部に計上します。
主に以下の目的で
1. 従業員等に対するインセンティブ報酬(ストックオプション)
2. 資金調達手段(新株予約権付社債、転換社債など)
3. 買収防衛策(ポイズンピルなど)
純資産の2%以下がほとんど。