外部環境と経営資源から戦略を策定するが、外部環境の中で最も重要な要素は市場環境である。市場環境の構造的変化をいち早くキャッチし、経営戦略や事業活動に落とし込んでいくのがマーケティングの役割。
社内の各機能(生産、営業、開発、財務、人事)は、顧客の期待に応えるべく役割を果たすべき。マーケティングは顧客の期待を明確にし、社内の各機能を統合する役割を担っている。
〔R&D部門〕
「自社の技術で何が作れるか」ではなく、「売れるものを作る」という発想とするため、顧客が求めているものを知っているマーケティング部門の情報は不可欠。
〔製造部門〕
製造計画を立てる際、市場分析に基づく販売予測データが欠かせない。
〔人事部門〕
中期的なマーケティング戦略を理解し、採用や要員配置を計画する。
経営戦略は、理念とビジョンを起点に全社戦略、事業戦略、機能戦略がある。
マーケティング戦略も同様に次の各視点で考える。
【全社マーケティング】
個々の製品でマーケティングを考えると、機能の重複などの無駄が生じたり、製品間や事業間で整合性が取れなくなることがある。そのため全社的視点でコーポレートブランドを管理し、シナジーを考慮して事業部門間の調整を図る。
【事業マーケティング】
セグメンテーション、ターゲティング、ポジショニング、マーケティングミックスを担う。製品間の調整もやる。
【製品レベル】
誰に何をいくらで買ってもらうのか。どのように認知させ、どのように供給するか。
6つのプロセスに大別される。必ずしも一方方向の流れではなく、行きつ戻りつすることもある。
マーケティングプロセスを円滑にするめるためには大勢を整えなくてはならない。
組織構造、職務設計、人事システム、人員配置などに気を配る。
マーケティング戦略によっては、組織構造の組み換えも検討する。
製品のライフサイクル(導入期、成長期、成熟期、衰退期)の各段階で、
顧客タイプ、顧客の商品知識、競争環境が異なる。
それぞれの段階の定石のマーケティング戦略を理解しておくとよい。
≪新製品の採用時期と顧客タイプ≫
採用時期 | 顧客タイプ呼称 | 説明 |
早い | イノベーター |
リスクを恐れないマニア。 仲間内では情報交換が盛んだが、積極的に発信しないので他の層への影響力は少ない。 |
アーリーアダプター |
思慮深いと思われているオピニオンリーダー。 製品の導入期は口コミの威力を発揮する。この層をいかに取り込むかが鍵となる。 |
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フォロワー |
成長期はこの層が中心的な顧客となる。 戦略課題は、市場浸透、潜在顧客取り込み、生産ライン拡大、差別化。 |
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レイトフォロワー |
成熟期になるとこの層が買い始める。 リピート客を増やすことな重要となる。 |
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遅い | ラガード | 流行に関心がなく、他者の購買にほとんど影響がない。 |
すべての製品が同じように製品ライフサイクルのプロセスをたどるとは限らない。
一過性のブームですぐに衰退期を迎えるものもあり、何十年も人気が衰えない定番商品もある。
成熟期を長年維持しているのは時代の変化に応じてマーケティング戦略を修正しているからだ。
こうした活動をプロダクトエクステンションという。
≪プロダクトエクステンション 3つの手法≫
特に差別化が難しい最寄品の場合、需要供給曲線である程度価格が決定する。
独占的な商品は供給量をコントロールすることで高価格を維持することができる。
価格を変化させたとき、需要量が大きく変わるものと、ほとんど変わらないものがある。
【価格弾力性が大きい】:価格が変わると需要が大きく変わる。
【価格弾力性が小さい】:価格が変わっても需要はあまり変わらない。
価格は収益に大きな影響を与える。
価格、変動費、販売費、固定費、をそれぞれ1%改善した場合、
営業利益にどの程度インパクトがあるかという試算がある。
(価格:32.2%、変動費:23.9%、販売費:8.2%、固定費7.2%)
と圧倒的に価格のインパクトは大きい。
安易な価格設定で機会損失を招くべきではない。
マーケティングの観点からは、ブランド力の重要な決定要素である。
無形のサービスや高額で試用ができない製品・サービスは、レピュテーションが特に重要となる。
採用においても求職者は、レピュテーションの高い企業を選ぶ。
従業員のモチベーションもレピュテーションの影響を受ける。
協力会社や投資家も同様である。
広義には、企業の評判を維持向上させる活動。
狭義には、クライシス対応(不祥事・事故)、またはメディア対応。
特に注目しているのは、悪いレピュテーションを初期段階で食い止めること。
悪いレピュテーションの方が広がりやすい。
経営陣を対象とした危機管理やメディア対応のトレーニングが有効。
やるべきこと、やってはならないこと、を知らないばかりに
みすみすレピュテーションを既存してしまうことが少なくない。