日本の金融経済

UNIT➉ 資金循環から見た日本型金融システムの特徴

資金循環勘定から日本の金融システムの特徴をみることができる。

 

【資金循環勘定】:6つの経済主体の総体間で、誰から誰に どんな形態で資金が流れたかを整理した表。

<6部門>

・金融機関  ・非金融法人企業  ・一般政府

・家計  ・対家計民間非営利団体  ・海外

 

それによると日本の金融システムの特徴は、銀行型システムである。

【銀行型システム】:銀行部門を経由する資金仲介が多い金融システム。

対してアメリカ・イギリスなどは、資本市場型システムである。

【資本市場型システム】:資本市場を経由する資金の運用・調達が多い金融システム

 

日本の金融組織の特色

➀分業主義

➁業務範囲の規制が多い

➂公的金融のウェイトが高い(郵便貯金、政府系金融機関)

 

高度成長期の金融構造

高度経済成長期 1955~1970年代初頭

鉄鋼や造船などの大企業に円滑に資金供給し経済成長を支えることが求められた。

そのため、業務分野や金利が規制され、金融構造の特徴が現れた。すなわち

 

➀間接金融の優位

 企業の資金調達がストックベースで銀行借入れ依存度が高いこと

➁オーバーボロイング

 企業の資金調達がフローベースで銀行借入れ依存度が高いこと

➂オーバーローン

 民間金融機関が恒常的に与信超過で日銀からの借入に依存している状態

➃資金偏在

 都市銀行は与信超過、地銀・相互銀行・信金等は受信超過。

 インターバンク市場で都市銀行が一方的に借りる状態。

 

UNIT⑪ グローバル化、自由化と日本の金融システム

年代 時代背景 金融イベント1 金融イベント2
1945 終戦 GHQによる特殊銀行、 財閥系銀行解体
1946   新円発行、旧円預金封鎖  
1947   臨時金利調整法  
1948   ドッジライン政策(財政引締で経済安定) 証券取引法
1955 高度経済成長 神武景気 岩戸景気  五輪景気 いざなぎ景気
1968   金融機関合併転換法  
1971  

ニクソンショック(ブレトンウッズ通貨体制崩壊)

【為替】スミソニアン合意

 (固定相場の調整 \308/$に)

預金保険法

1973 第1次石油危機 【為替】変動相場制へ 公定歩合9.0%(最高水準)
1978 第2次石油危機    
1979   譲渡性預金(CD)導入 (初の自由金利預金) 
1980

レーガノミクス 

ドル高政策

改正外国為替法  
1981   改正銀行法  
1983   日米円ドル委員会(83~84)  
1985

プラザ合意

(ドル高是正)

¥240/$→¥140/$  
1987

ルーブル合意

(為替安定協調介入)

ブラックマンデー(NY株価暴落)

公定歩合低水準(2.5%)

が続きバブルを生成

1989

東証株価ピーク38916円

バブル崩壊

消費税3%

公定歩合6.0%に引上げ 

バブル崩壊

1993   【銀証信】子会社方式で相互参入解禁 【社債】発行限度額規制撤廃
1995   【長短】普通銀行も5年の中長期預金解禁  
1996   日本版金融ビッグバン 表明 【社債】適債基準・財務制限条項が撤廃
1997   消費税5%  
1998   金融持株会社 解禁 【為替】外国為替取引が全面的に自由化
1999   【銀証】子会社方式の制約が撤廃。垣根解消 【長短】普通銀行も金融債の発行が解禁
2001 アメリカ同時多発テロ    
2002   【銀信】銀行本体による信託業務が解禁

改正銀行法 

他業種からの銀行業務参入解禁

2005  

【銀信】銀行以外の企業も信託業務への参入解禁

ペイオフ全面解禁
2006   【長短】長期信用銀行は無くなった  
2007

サブプライム

ローン破綻

   
2008 リーマンショック    
2011 東日本大震災    
2014   消費税8%  
2019   消費税10%  
2020 コロナショック    
       
       
       
       
       
       

UNIT⑫ 技術革新と日本の決済システム

【現金通貨】:すべての決済に利用できる(汎用性)。支払い完了性がある

【銀行の銀行】:中央銀行は現金通貨および中央銀行預け金の供給期間

【最後の貸し手】:民間銀行が一時的に支払不能に陥った場合、中央銀行が流動性を供給する

【即時・相対・グロス決済】:債権・債務が発生する都度、1件ずつグロスベースで決済する

【時点・共同・ネット決済】:一定時間内に発生して債権・債務を相殺した差額を決済する

【決済リスク】:決済が予定通り行われないこと。(決済までの時間×取引金額)

【RTGS化】:即時グロス処理化

【手形交換制度】:金融機関が手形・小切手を持ち寄って、毎日一定の時間に交換決済を行う。

【手形交換所】:交換事務を営む機関

【内国為替決済制度】:国内における為替業務(振込)

【全銀システム】:金融機関相互の為替取引を計算し、当日中に加盟金融機関と日銀に送信。

【日銀ネット】:日銀と金融機関の資金や国債の決済のオンライン処理システム。