金融市場の機能と仕組み

UNIT⑬ さまざまな金融市場とその機能

金融市場の3つの機能

取引記録機能・・・各経済主体がどのような金融取引を行ったかを記録している

価値評価機能・・・金融商品の価値をその時々の経済環境のもとで評価している。

情報提供機能・・・各種証券の発行・転売状況やそれに伴う資金フローを市場参加者に提供している。

 

金融市場の分類

金融市場は、次のような基準で分類することができる。

➀取引の形態(相対取引・市場取引)

➁取引の期間 (長期・短期)

➂参加者の範囲 (インターバンク市場・オープン市場) 

➃取引される金融商品の内容(金融派生商品市場・それ以外、株式・債券)

 

伝統・派生 長期・短期

参加者、内容

伝統的金融市場 短期金融市場

インターバンク市場

コール市場
手形市場
ドル・コール
オープン市場 債券現先市場
債券レポ
譲渡性預金(CD)
国内コマーシャルペーパー(CP)
割引短期国債(TB)
政府短期証券(FB)
長期金融市場 債券市場 公共債
金融債
社債

株式市場

外国為替市場
金融派生商品市場 先物・先渡し
金利先渡し(FRA)・外
国為替先渡し(FXA)
スワップ
オプション

短期金融市場とは

原契約の満期期間、または条件付の売買の期間が1年以内

銀行・証券会社・保険会社・一般事業法人・国・地方公共団体・投資家など

さまざまな経済主体が運用や調達を目的として参加している。

中央銀行が金融調整(資金を供給・吸収)を行う場としても機能している。

中央銀行は金融調整を通して短期金融市場の金利形成に強い影響力を及ぼしている。

 

インターバンク市場とは

市場参加者が金融機関のみに限定された市場。銀行等では顧客の経済活動に伴う

巨額の資金流出入があり、一時的な資金の過不足を相互に調整する場となっている。

 

長期金融市場

債券市場と株式市場があるがいずれも下記2つから構成される。

 発行市場・・・資金調達を目的として新たに証券が発行される

 流通市場・・・すでに発行された証券が売買される

   ├─取引所取引・・・物理的な場所で集中的に取引が行われる

   └─店頭市場・・・・証券会社が顧客と個別に売買を行う

 

外国為替市場

円とドルなど、異種通貨間の売買が行われる市場。

インターバンク市場と対顧客市場に分類される。

 

金融派生商品、証券化商品の拡大

近年、各国の金融・証券市場で、新しいタイプの金融商品の取引が拡大している。

コンピュータの発達を背景にさまざまなリスクを抽出・分解することが可能になった。

 

セキュリタイゼーション(資産証券化・アセットファイナンス)の本質は、

リスク評価を切り出して転売するところにある。

 

 

UNIT⑭ 短期金融市場

債券現先市場

債券の売買の仕方は、一般売買と現先売買がある。

現先売買とは、一定期間後に一定価格で買い戻す・売り戻す条件付きの売買(レポ取引)

現先売買は、債券のほか、CD、CP、TB、FBでも行われている。

 

譲渡性預金市場

一般の定期預金とは異なり譲渡禁止の特約がなく、譲渡が可能な定期預金。

銀行が該当定期預金に無記名の預金証書を発行し、預金者がこれを金融市場で自由に譲渡できる。

 

国内コマーシャルペーパー市場(CP)

・CPとは、短期・無担保の約束手形のこと

・商取引の裏付けを持たずに発行される

・発行主体は、優良企業のみに限定される

・直接金融での資金調達という点では社債と同じ性格

・償還期間が30日以内のものが多い

・手形なので、証券会社のみでなく銀行等でも扱われる

 

割引短期国債市場(TB)

・TBとは、割引発行される期間1年以内の国債。

・満期日が到来した国債の借換えを目的

・価格競争入札で発行される

 

政府短期証券市場(FB)

・期間60日程度の割引債

・国庫の一般会計や特別会計の一時的な資金不足を補う目的で発行

・2009年2月からTBと統合され、国庫短期証券(T-Bill)という名称になった

 

UNIT⑮ 証券市場

証券市場とは、期間1年超の長期資金の調達・運用が行われる市場。

【発行市場】:企業の資金調達のため新規に発行される債券や株式が売買される

【流通市場】:既発の有価証券が売買される